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ほとりの朔子



監督:深田晃司/CS録画/★3(50点)本家公式サイト
観察者の物語。文学的な面白さ満載なんだけど、映画としては物足りない。食べ物で言うなら、もう少しスパイスが欲しい。
終わってみれば悪い話じゃないけれど、テレビで観たせいなのか、気持ちのスイッチが入るまで時間がかかった。

主人公の朔子は浪人生で、高校生でも大学生でもない、何者でもないポジションに置かれます。これ、文学的な“記号”なんですね。
例えば薬師丸ひろ子の『セーラー服と機関銃』は、いやまあ橋本環奈でもいいんですが、“セーラー服”って視覚的な“記号”なんですよね。「じゃあ、浪人生の視覚的記号って何だよ!」って言われそうですが、そこがポイントではなく、この映画は全体的に「台詞による表現」が多くて、「視覚による表現」が少なく、言い換えれば「映画的」でない気がするのです。

例えば、母親と叔母さんが同じ名前だというクダリがあります。これ、小説で読んだら印象的かもしれませんが、この映画では印象に残りません。
また、登場人物もご丁寧に一人ずつ出てきてきちんと自己紹介してくれます。飛行石を身に着けた少女が空から降ってくるような印象的な出会いはありません。
大人でも子供でもない主人公が世間や大人の表裏を“垣間見る”ひと夏の物語だってことは分かるんですが、朔子が知る“裏表”も噂話か告白。全部セリフ。

いわば「ムーミン型」の映画で、主人公が事態を牽引したり解決したりしない“傍観者”という話はアリなんです。傍観者を「ほとり」と評したタイトルも文学的。
しかし、もう少し映画的な見せ場があってもいいんじゃないかなあ。

(2013年 日本=米)

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