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フラッシュバックメモリーズ



監督:松江哲明/CS録画/★4(80点)
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現代の空気感が凝縮された、時代を代表する「インディペンデント3D」映画。私が観たのは2Dだけど。
私はこの映画に“時代の空気”を感じたのです。

まず、手法としての3D。
かなり廉価な手法で実現したそうで、そういう技術がインディペンデント映画で実現できる時代になったこと。「インディペンデント3D」と呼んでいい。
そして3Dの使い方。いやまあ、私が観たのは2Dなんで推測なんですけどね。
ディジュリドゥが立体的な楽器だってこともありますが、記憶が平面で今(ライブ)が立体なんじゃないかと思うのです。3Dがこなれてきた(そしてデジタル撮影をフルに活かせる)時代の斬新な使い方だと思うのです。

今のGOMAや家族に何も語らせないセンスも抜群です。それやっちゃったら、凡庸なドキュメンタリーに陥ってたでしょう。写真やビデオ、日記といった素材だけで、“本来彼が持つべき記憶”=“彼の半生”を構成した。そうした素材が当たり前に家庭に残っている時代ならではの作品でもあります。

その日記の中で、3.11に触れるシーンがあります。震災後の不安とGOMAが事故にあった直後の不安が似ているといったような、彼の奥さんの短い言葉。
この時私は思ったのです。
今の時代の空気感は“不安”なのではないかと。

これは不安を煽り、それに共感を求める映画ではありません。障害ある人に同情を求める映画でもありませんし、単なる苦労話でもありません。
それを超えて「今を生きる」映画です。むしろ“希望”の映画と言ってもいいでしょう。
これもまた今の時代に必要なメッセージに思えるのです。
不安な時代だからこそ、希望を持って今を生きる。

たぶん時代が違えば、別の方向性の映画になったでしょう。
60年代、70年代だったら、記憶が人間を形成しているといった哲学的な方向になっていたかもしれません。

(2012年 日)

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