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俳優 亀岡拓次



監督:横浜聡子/ユナイテッド・シネマとしまえん/★4(73点)本家公式サイト

“天然”よりも“真性”という評がシックリくる破天荒なファンタジー作家=横浜聡子がギリギリ商業映画に寄せた佳作。
横浜聡子にとって、事実上『ウルトラミラクルラブストーリー』以来2本目の商業映画じゃないかと思うんです。しかも初の原作物。
劇薬『ジャーマン+雨』の毒に侵されたファンとしては、前作『りんごのうかの少女』が窮屈に撮らされてる印象があったんで心配だったんです。

結果、そんな心配は無用で、横浜聡子らしい映画になったと思うんですけどね。商業的にはどうなんだろう?やっぱり心配だ。
原作を読んでないので原作通りなのかどうか知りませんけど、「紙パンツ履いてスパナで人殺しに向かう女宇宙飛行士」なんて最高にファンタジーじゃないですか!じゃないですか!!あー、理解できませんかぁ、そうですかぁ・・・

横浜聡子の特徴は「アッチの世界とコッチの世界をふらつく浮遊感」にあると私は思っています。
その片鱗は、寝ているシーンが多いこと、車窓風景だけでの移動表現が多いこと、オフで声だけ入ってくるシーンが多いことなどにも現れています。
夢現(ゆめうつつ)。何が現実で虚構なのか分からない。本作ではそれが「変幻自在の脇役俳優」という設定で上手く活きたと思うのです。

途中「喝采」のクダリで「シンミリ・ホロリ系」に陥りそうになりますが、本質はそこじゃない。場末のスナックで歌う夢破れた歌手と脇役俳優の悲哀を重ねて観客の共感を呼びたくなるのが普通ですが、横浜聡子はそうじゃない。むしろ、アラン・スペッソなる映画監督のクダリが本質です(笑)。
「骨抜きナントカ」いう過去の映画(どんなスパイ・アクションなんだよ)の世界に入り込み、オーディションでの怪しい一人芝居。そして、モロッコだか鳥取だかでの撮影。これこそ真骨頂。実際、この世界的巨匠という設定の外国人は「生と死の境を彷徨っているようだ」と言うのです。

一方、ヒロインが登場し、主人公と初めて会うシーンは一陣の風が吹くのです。夢現の世界でハッとするほどリアルな瞬間。そしてその風が吹き込む設定は後々も意味を持つ。
実はこうしたちょっとした瞬間も巧い。

おそらく横浜聡子という人は、一日の半分くらい空想や妄想して暮らしてる人だと思うんですが(<勝手な想像)、計算でも天然でもない、本能ともいうべき“映画勘”を持つ真性の作家だと思うんです。
売れなくていいから、思い通りに作品を作ってほしいな。

2016年1月30日公開(2016年 日)

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