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殺されたミンジュ



監督:キム・ギドク/ヒューマントラストシネマ有楽町/★4(70点)本家公式サイト
キム・ギドクが開きたがるパンドラの箱。韓国社会の『不都合な真実』。圧倒的な悪意の熱量を持った超絶社会派マンガ。
鬼才というか異才というか、映画と食事は似ていると唱えている私に言わせれば「珍味」のキム・ギドクですが、本作はもう、彼が韓国社会に対して言いたいことを言いたい放題言ってる映画だと思うのです。
例えば格差社会。「抜け出せないんじゃなくて抜け出す気がない」なんて、至極真っ当で不都合な真実をサラッと言っちゃうからね。

映画は、ぶっちゃけいろいろ雑です。そもそもどうやって容疑者見つけたの?とか、その尾行は物理的に無理じゃね?とか。だいたい恋人がデート中「上司の指示に従ってればいいんだ」なんて会話はしねーよ。一人が何役もやってて最初の頃混乱するし。
こうした細かい所は雑ですし、全てのキャラクター設定もステレオタイプなのですが、それは意図した“誇張”であり“記号化”なのです。

「何で毎回コスプレして、ステージ裏みたいなところで着替えてんだよ」みたいな、まるでマンガの如き誇張され記号化されたキャラクターや設定。
例外はたった1つ。超リアルに描かれる「暴力」。
暴力=破壊だけをリアルに痛々しく描くことが、「殺されたミンジュ(民主)」のテーマにほかなりません。

この映画が、「良心を失った国」を憂うことよりも、圧倒的な熱量で“悪意や憎悪”をぶっ込んでいるように見えるのは、こうした奇妙な映画の構成のせいではないかと思うのです。
これは、キム・ギドクなりの“憂国”なのです。

日本公開2016年1月16日(2014年 韓国)

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