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アクトレス〜女たちの舞台〜



監督:オリヴィエ・アサイヤス/ヒューマントラストシネマ有楽町/★4(72点)本家公式サイト
アサヤスなんだからウヒウヒ映画ではないことは承知していたのに、キャスティングに釣られてウヒウヒ観に行った結果、やっぱりウヒウヒ映画じゃなかった。
それはもう当然、ジュリエット・ビノシュと我らがヒットガールことクロエちゃんをウヒウヒ観に行ったんですけど、クリステン・スチュワートがめちゃくちゃ良かったんです。まさか『パニック・ルーム』の子役がこんな素敵な女優さんになってるとはね。

さすがアサイヤス(ん?アサヤスが正解なのか?)って映画で、スマホと電車の音が鳴り続ける“動”の第1部から、一転して第2部は“静”。車も停止し、助手席でジュリエット・ビノシュが眠る。きっちりと「ここから“静”ですよ」宣言をして、かつクリステン・スチュワートに「私達、同じ場所を回っている」と意味深なことを言わせる。

この“動”と“静”は、女優の“ON”と“OFF”のように思えるのです。
そして明示しませんが、クロエちゃんが登場してから、ジュリエット・ビノシュの女優モードが次第に“ON”になっていく所は「第3部」なんじゃないかと思うのです。“ON”から“OFF”へはスパっと切り替えるのに、“OFF”から“ON”へは静かに遷移するのです。
そしてこのドラマの中核である第2部は、女優とマネージャー2人きりの、まるで「同じ場所回っている」かのような“静かな”時間の中で、しかし“静かに”その関係が崩れていく過程なのです。劇中劇「マローヤのヘビ」の題名の由来となった「悪天候の前兆」の雲のように、静かに。

動と静の対比はジュリエット・ビノシュとクロエちゃんの間でも描かれます。
クロエちゃんは音楽と男を纏って登場し、その後もほとんど一人になることはありません。ジュリエット・ビノシュに反論する最後の場面も、背景に付き人らしき人を写しこみます。一方、ジュリエット・ビノシュはたった一人。

もしかするとこの映画、ジュリエット・ビノシュ演じる女優が“脱皮”する物語なのかもしれません。マローヤの“ヘビ”にかけたわけじゃないけど、「成長」というよりは「脱皮」の方がしっくりくる。
そしてそれは、ある程度の年齢になると、周辺の贅肉を落としていくことなんじゃないかと思うのです。
クロエちゃんが華美な一方で、ジュリエット・ビノシュがシックにシンプルに描かれているのは(そして“動”から“静”への移行は)、そうした意図があるように思えるのです。

日本公開2015年10月24日(2014年/仏=独=スイス)

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