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ロマンス



監督:タナダユキ/ヒューマントラストシネマ渋谷/★3(60点)本家公式サイト

ロマンスと紙の月。所詮箱根止まりの女って話(仙石原には行ったようだが)
『百万円と苦虫女』以来のオリジナル作品だそうで、私がタナダユキ作品を観るのも同作以来。
この映画、結論を言ってしまえば大倉孝二の映画。そういや大倉孝二久しぶりだなあ。

大島優子は決して悪くない。個人的には、クルクル変わるその豊かな表情を見ているだけで飽きない。表情や声の演技は前田敦子より好きかもしれない。むしろ軽く惚れてしまうくらい。ただ、スクリーンの中で輝いていた瞬間は前田敦子の方が何度も記憶にある。前田敦子の方がスクリーン栄えして存在感がある。テレビドラマだとパッとしないんだけど。端的に言ってしまえば、前田敦子は映画向き、大島優子はテレビ向きのような気がするのです。あくまで個人的な感想ですけどね。

『百万円と苦虫女』同様、タナダユキは主人公の女性に“脆い自我”を与える。
最初から弱い女性でもなければ強い女性でもない。むしろ没個性と言ってもいいくらい“普通”の“女性”。この中庸なバランス感覚こそタナダユキの真骨頂かもしれない。
主人公の確固たる信念や価値観、世界観を揺るがす外敵と対峙する物語ではなく、最初から“脆い”自分と向き合う内省的な物語。これもまたタナダユキの特徴かもしれない。
そして私は、そんなタナダユキを「いい奴だ」と勝手に思っている。

おそらくこの映画は、普通の人々が「たった一日の逃避行」という“非日常”を通して自分と向き合う物語なのだろう。
そしてその中庸な普通の感覚の“非日常”は箱根辺りだっちゅう話ですよ。これが『紙の月』みたいに突き抜けちゃうとタイまで逃亡するんですよ。
そういう意図は解る。わかるんだけどね・・・。

その割には主人公二人の背負っている背景が特殊すぎやしないか?
我々普通の観客が「あるある」「分かる分かる」って設定ではない。スタート地点は一緒だったのに、なんだか全然違う方向に向かって走っていってしまったような感覚。ただ呆然と見送るしかない。

いっそ「あるある」映画でなく、「ロマンスカーに爆弾仕掛けられて時速80km以下になったら爆発する!」とか「ないない」映画の方が、むしろ観ていて感情が乗る。もっとも、新宿−箱根間じゃあっという間だけどね。

8月29日公開(2015年 日)

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