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リアル鬼ごっこ

リアル鬼ごっこ監督:園子温/109シネマズ二子玉川/
★4(78点)本家公式サイト

考えるな!感じろ!とにかく走れ!(コメントには性的な表現を含みます。未成年者は退出してください)
可愛い女の子。綺麗な女性。男なら誰でもイカガワシイ妄想をしたことがあるはずだ。所謂オ○ペット。
この映画の前半、ビルケンシュトックじゃなくてトリンドル玲奈のクダリは、男の欲望を、その対象にされた女性の側から描いたのではないだろうか。

何だか判らない力(風)に追われるのは、目に見えない男の欲望に晒されている象徴なのだろう。マンガみたいな「キャッキャした女子校生」なんか男の妄想でしかない。もはや女子校生を描く気すらない。女子というただの「記号」。
学校名は「私立 女子高校」。この映画に固有名詞はない。名前なんか何だっていい。ただの女。
男からしてみたら、身に覚えがあるだけに、すごく嫌なものを見せられる。
(そしてそれらは、終盤、斎藤工のクダリで明示される)

男の欲望vs“女性”という前半に対し、篠田麻里子のクダリは“女”vs“女”の物語になる。
それまで逃げる一方だった主人公が戦う姿勢に転じる。
これもまた、女の生きる術。

そしてマノエリは走る。
皆の声援を受けながら走る(もっとも、この声援を真に受けていいのかどうか分からないけど)。
やがて彼女は、穢(けが)れを知らない小学生の頃を思い出す。無心に走っていた頃を思い出す。疲れを知らない子供のように(<布施明か)。
しかし時は追い越していく(<だから布施明か)。
決してあの頃には戻れない。

直後、ビルケンシュトック玲奈は、赤と青のコードを引き、痛みを伴って新しい扉を開く。
それは、彼女が穢れを知る瞬間なのだ。実際、扉の向こうには男が待っている。
(正しくは「厨房のデブ」。つまり、性的な魅力のない男で、むしろまだ食欲の方が上回っている。もしくは中坊とかけたのかもしれない)

遊び道具でしかなかった「枕」が性的な意味を持った時、彼女はその羽毛を赤い血で染める。
天知茂の明智小五郎「パノラマ島奇談」よろしく女性たちが並べられ、「DNA」という言葉に置き換えられて「性の対象」だと告げられる。
実はこの映画、ここからが始まりで、冒頭に戻るんじゃないかとさえ思う。
この映画が描く恐怖は「目に見えない欲望に晒されること」なんだと思う。

しかし、この映画で描かれる女性は「ウェディングドレス」までで、その後が描かれることはない。
そして、その矛先が男に向かうこともない。
「世の中はシュールだ」「走り続けろ」と映画は言うが、女性が勝利する瞬間はついぞ訪れない。それは映画としてカタルシスがない。

あ、そうか。これ、「鬼ごっこ」だった。
「男の欲望(=鬼)から逃げ続ける女」(女の羨望とは戦うけど)。これが園子温の考える『リアル鬼ごっこ』だったんだな。
ちなみに園子温、原作読んでないそうですよ。

2015年7月11日公開(2015年 日)

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