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バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

バードマン監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ/日比谷TOHOシネマズシャンテ/★4(70点)本家公式サイト

例えるなら、村上春樹の小説を藤岡弘が舞台化するって話だろ?え?違う?
いやまあ、レイモンド・カーヴァーが村上春樹に相当するかどうかは知らないけどね。ただ、カーヴァーの小説は春樹が翻訳してるんだ。劇中劇は「愛について語るときに我々の語ること」だけど、村上春樹自身も「走ることについて語るときに僕の語ること」ってエッセイを書いてるしね。

そういう訳で読んでみたわけですよ。春樹訳の「愛について語るときに我々の語ること」。正直、何だか分からない短編小説なんですが。
この映画では、この小説を舞台化したという劇中劇ではなく、現実世界の中で、小説のエピソード、それも直接描写ではない間接的なエピソードを、巧みに盛り込んでいるのです。非常に高度な脚本です。
それで気付いたんですが、小説は4人の会話劇で、噂話にだけ登場する第5の人物がいるんです。その5人目の人物こそ、この映画のマイケル・キートンであるように思えてくるのです(実際舞台のラストシーンはそうなんだと思う)。

最初私は、この映画『鬼火』なんじゃないかと思ったのです。いや、望月六郎じゃなくて、ルイ・マルの。手法はヒッチコック『ロープ』なんだけどさ。
だけど、ふと気付いたのです。イニャリトゥはいつも「喪失と再生の物語」を描いているのではないか?ということに。
そう考えると、この映画も、今までのイニャリトゥ作品も、グッと分かりやすくなってくる。いやまあ、基本、この人の映画は難しいんだけどさ。そして何だかよく分からないカーヴァーの小説も、この映画を観ると何か掴めるような気がしてくるのです。まあ、気がするだけだけど。よく出来た映画だな。

ところでこれ、米アカデミーにとってはウヒウヒ映画だったのかなぁ?俺はハリウッド的ヒーローを馬鹿にしたウヒウヒ映画に思えたんだけど。なんだ、やっぱりウヒウヒ映画なんだ。

余談

そういや、この映画、米アカデミー監督賞獲ってるんだけど、前年は『ゼロ・グラビティ』のアルフォンソ・キュアロンじゃなかった?連続メキシコ人監督が受賞してるんだねえ。勢いあるねえ。

日本公開2015年4月10日(2014年 米)

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