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かぐや姫の物語


監督:高畑勲/TV録画/★4(80点)本家

女童がいい仕事してる
私は高畑勲が嫌いです。
日本有数のナンセンスギャグ作家&評論家いしいひさいちの『となりの山田くん』をあんなホンワカ話にしやがってという恨みつらみもありますが、『平成狸合戦ぽんぽこ』の段階で見限ってたんだよね。
どうもこの人は、自然原理主義の所があって、それが高じて自然を破壊する文明を批判し、やがては資本主義的な思想の批判につながる。それが鼻につく。
実際この映画でも、翁が「資本主義に毒された可哀そうな人」として描写されます。

でもこの映画は好きです。むしろ映画館で観なかったことを後悔しているくらいです。

相変わらず自然を崇拝するものの、「だから文明はダメなんだ」ではなく、「だから地球は美しい」という方向に転がっている。
思想ではなく“人間の業”が描かれている。例えば先に翁について触れましたが、彼は「姫を想っている」ことを充分に描いた上での行動であることが描写される。
姫は、思想や行動ではなく、ただ“美しい”ことが罪になる。子供の頃はあんなに両親を幸せにした娘が、美しく成長したら死人が出るほど周囲を不幸にしてしまう。

そして、圧倒的にアニメーションが素晴らしい。動いている絵を見ているだけで飽きない。
橋爪功とか伊集院光とかそこまで似せて描く必要はないと思うけど。引きの画でポンチ絵になるのも好き。女童なんかいい仕事してるぜ。絵と関係ないけど。

ただね、私の思うかぐや姫って、この映画のような「普通の精神を持った少女」じゃなくて、『雨月物語』の京マチ子的な「何を考えてるのか分からない妖女」のイメージなんですよ。言わばファム・ファタル。フランス映画的な要素を秘めてるとさえ思うんです。

「竹取物語」は不詳だけど確実に作者がいる。民話や伝承で貴族が中心になることはないからね。これは確実に「源氏物語」同様、貴族の暇つぶし用に書かれた本なのです。しかも「源氏物語」と違って、男性目線の話。
おそらく、この話の発想の根源は「竹から生まれた姫」ということではない。断言。
都で評判の美人がいて「この世のものとは思えない絶世の美人」なんて噂から、「じゃあ本当にこの世じゃない人をお題に一つ」というのが着想だと私は妄想しています。

だからね、リメイクするならそういう話がいいと思ってるんです。
謎多き評判の美人。彼女に惚れた一人の男がその素性を調べていく。そして次第に明らかになる過去!その秘密が全て明らかになった時、彼女は忽然と姿を消すのだった・・・。
ほーら、ファム・ファタル物っぽいでしょ。

余談

その観点で言えば、女は決して振り返らない。あそこで地球を振り返って見ちゃうのは、男目線の幻想だと思うんだ。

(15.03.29 TV録画にて鑑賞)

(2013年 日)

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