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風立ちぬ


監督:宮崎駿/TV/★4(70点)本家

牛と地震。飛行と引退。
話の半分が「夢」なのね。面白いなあ。半分は言いすぎだけどね。
あと地震の描写ね。アニメでしか出来ない表現。
つまりこれ、実在の人物をモデルにしてるけど、やっぱり宮崎駿は「フィクションの面白さ」にこだわった人なんだと思うのです。いわば“寓話”。

牛が飛行機を運んでいくというエピソードが2度出てくるんですよ。2度めは会話の中だけですが。いかに早く飛ばすか苦心した飛行機を牛がのんびり運んでくってのも面白いのですが、深読みすると、ある意味、宮崎駿の“答え”だったんじゃないかと思うのです。

宮崎駿が“飛行”好きであることは今更言うまでもありません。“飛行石”なんてのもありましたが、空を飛ぶには科学技術が必要なんですね。
一方、宮崎駿が自然との共生がメインテーマであることも今更言うまでもありませんね。
科学と自然という、ある種矛盾するようなテーマを彼は追い求め続けていたのです。

この映画が東日本大震災の強い影響を受けて作られたことも言うまでもないでしょう。
劇中で描かれる関東大震災は東日本大震災であり、科学技術は原発なのです。人に夢を与えるはずの科学技術が人を傷つける。飛行機が戦争に使われるのも同じです。
旅客機の製作は夢として語られ、主人公が作った優れた飛行機“ゼロ”は「1機も帰らなかった」と言います。夢と現実には大きな齟齬があるのです。

私は、夢と現実の架け橋が“牛”だったんじゃないかと思うのです。

本当に牛が戦闘機を運んだんでしょうけど、何かこう、「科学の進化を急ぎすぎてはいけない」というようなメッセージがあるように思えるのです。いやもう、ものすごく穿った見方ですけど。
そこに、自然と科学の両方を追い求め、引退を決意した宮崎駿の答えがあるように思うのです。ものすごい邪推ですけど。

(2013年 日)

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