September 2018  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

さよなら歌舞伎町

さよなら歌舞伎町監督:廣木隆一/テアトル新宿/
★2(49点)本家公式サイト

荒井晴彦の話は相変わらず70年代だなワッハッハ、愉快、愉快、というコント「ラブホテル」。
あ、アトラスだ。あそこJRから歩くと遠いから使ったことないんだよね。
なんてことはさておき、結構楽しく観たんですけどね、後から思い返すとかなりドイヒーな話だったように思うのです。

とにかく話が古い。
街の空気感も捉えられてなければ、時代の空気感も捉えられていない。後者に至ってはカスりもしない。

ドキュメンタリー感のある手持ちカメラで大久保のヘイトスピーチを写した辺りは、すわ『(秘)色情めす市場』か!?って期待もあったんだけど、結局“いかにも”な登場人物がホテル内で右往左往するコントまがいの小手先エピソードに終始する。ここは『有頂天ホテル』か!

登場人物が全員必ずもれなくお涙頂戴な“浪花節”を背負っているじゃないですか。出てくる女性はみんな「待っている女」ばっかだし。五木ひろしか!40〜50年話が古いわ。浪花節のくせにジューシーフルーツとか持ちだすんじゃないよ。近田春夫をなめるな!てか、この田口トモロヲまで何かを背負ってる必要があんの?
震災を語った後、前田敦子の入った部屋が「311号室」なんですが、いちいちうるせえよって感じがしちゃう。まあ、震災級の衝撃ではあるけどね。

ファースト・ショットが何もない空なんです。そこから手持ちカメラでパンして前田敦子の住むアパートの部屋をベランダから写す。たしかこんな入りだったと記憶してるんですけど、このショットの意味が分からない。なぜ空?なぜベランダ越し?なぜトリッキーな必要があるの?最後まで分からなかった。
私は、新宿新都心の高層ビル街をもっと堂々と写してよかったんじゃないかと思うのです。

歌舞伎町の興味深いところって、あの猥雑な街が都庁のお膝元にあるところだと思うんですよ。いやまあ、どこの地方都市でも県庁と繁華街は割と近くにあるんですがね。でも東京新宿は、ともに“日本を代表する”高層ビル街と歓楽街なんです。未来感と過去が同居しているギャップというか不思議さというか、そういう街だと思うんです。かつて学生運動の中心地だった新宿が、副都心(サブ)から新都心(メイン)へ移行し、それでも変わらず市井の人々の欲と性にまみれた混沌がある街。そう考えると『さよなら歌舞伎町』って、ものすごく意味深なタイトルだと思うんですがね。
それともあれか、全共闘世代には、そんな都庁は正視できないってか。

ついでに言うなら、去る時も誰も振り返らないのね。
染谷将太が乗ったバスが高速に入る。あれは未来に向けた上昇の象徴の画面(えづら)だとは思うんですが、あそこまでエピローグ必要かな?
花園神社での別れの後、朝の通勤・通学の雑踏を眺めながら、歌舞伎町を振り返って、やっぱり雑踏に消えていく。それくらいで良かったように思う。妹が同じ帰省バスなんてエピソードは全然いらん。この街で過ごした時間が彼らの中に何かしらの“変化”を起こしたのだから、誰か一人くらい街を客観視してもいい。
(その点『海炭市叙景』はよく出来てた)

同じラブホ物(あるいは社会の片隅の人間ドラマ)なら『パーク アンド ラブホテル』の方が何倍もよく出来てたし面白かった。
あ、でも、ラブホで『グランドホテル』やろうとしたんだったら成功だったのかもね。成功だったのか?

余談
この胸の綺麗な韓国人女優はキム・ギドク『メビウス』と同じ女優さんなんだが、公式サイトで日本語表記が違うのな。

2015年1月24日公開(2014年 日)

comments

   

trackback

pagetop