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百円の恋

監督:武正晴/テアトル新宿/★3(63点)
本家公式サイト

安藤サクラの身体のキレと熱演。それに全部支えられた映画。
二流俳優と三流エッセイストの間に生まれた一流女優、鳶から産まれた鷹でおなじみ安藤サクラ(あ、このクダリ『0.5ミリ』でも書いてるわ。あ、安藤サクラの映画を観るたびに書いてるわ)。『0.5ミリ』と合わせて、2014年ブッチギリ俺の主演女優賞。凄い凄い。安藤サクラ本当に凄い。

ただ、映画自体、というか演出が全然ダメ。正しく言えば私の好みじゃない。

冒頭からセンスがないなぁと思って観ていて(私の記憶が正しければ、サンドバッグを想起させるような部屋の蛍光灯の紐をなめていたと思う)、タイトルが出てきた時点で既にゲンナリしていた。
そのカメラの位置と構図が何を狙っているのか分からない。何をどう撮っていいか分からないで、なんとなくカメラポジションを決めているとしか思えないような演出が続く。
ところが、安藤サクラのトレーニングシーンをモンタージュで見せる時は、パキパキ構図がキマるんです。ああ、ここは絵コンテ描いたのねって感じで。
安藤サクラの試合シーンはカメラがリングに上がり、迫力ある絵を撮ります。その前の新井浩文の試合シーンは、安藤サクラの目線ですから、当然カメラはリングの外にあります。その辺のことは理解して撮っている。要するに、ボクシング(トレーニング含む)シーンはちゃんと撮れてるのに、ドラマ部分が全然撮れていない。

何が言いたいかというと、この監督はボクシングを重視してこの話を撮っている。いや、たしかに、あの試合がちゃんとしてなかったらこの映画は成立しない。それは分かる。
でも、この脚本を正しく理解しているとは思えない。
「とうが立った女がボクシングに本気になる物語」というのはこの話の表層的な部分でしかなく、本当は「負け犬が“勝ちたい”と思うまでの物語」だと思うのです。
その物語の本質を支えているのは安藤サクラの熱演と身体のキレであって、決して演出じゃない。

もう少しマトモな演出ができる監督が作ってたらもの凄い傑作になってかもしれない。
それくらい安藤サクラは体を張って素晴らしい演技をしたし、それくらい演出がダメな映画。

2014年12月20日公開(2014年 日)

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