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舞妓はレディ

舞妓はレディ監督:周防正行/ユナイテッド・シネマとしまえん/★5(90点)本家公式サイト

パロディも方言いじりも深追いせず、周防正行が魅せる“本物”と“アイドル論”(後者は嘘です)。中村久美が最強(これホント)。
そのタイトルを文字で見た時は気付かなかったけど、耳で聞いて、設定を知り、ミュージカル風の予告を見せられたら、あの映画のパロディだと気付くじゃないですか。いわゆる「MFL」でお馴染みの。そうなったら当然、観客の興味は「スペインの雨は主に広野に降る」しかないわけじゃないですか。
そうした観客の期待は早々に満足とともに消化させ、かつ、ピグマリオン的展開も「少女の淡い恋心」として将来への余韻を残して消化する。見事な手腕です。

つまり、単なる“出落ち”でもなく、分かる人だけ分かればいい“一見さんお断りパロディ”でもなく、1本の立派な映画として成立している。
小さなパロディも大きな冗談(ブッキーが出ている回想シーンとか)も、全部「大人の余裕」。まるで芸妓遊び。
ついでに言うなら、終盤の落ち着いたカット割りとか、岸部一徳の台詞とか、大人の映画ですよ。
「仕込みは厳しかったかい?」「舞は?」「じゃ、見せてもらおうか」
遊び慣れた大人の台詞ですよ。

この映画の主軸は「少女の成長物」ですが、主軸に寄り添うように「消えゆく文化」が裏テーマとして描かれます。手法としては、チャン・イーモウの『初恋のきた道』ですね。周防監督が一番興味を持って描きたがっているのが「お茶屋文化」であることが手に取るように分かります。
だから、方言もパロディーも深追いしない。それはあくまで“きっかけ”で、この映画の本質はそこじゃない。

若い主演女優を支える脇役陣・・・と言うと平凡ですが、この構図は「プロ集団」お茶屋文化に放り込まれた「アマチュア」の物語と一致するんですね。
だから脇役陣は、プロとして「プロらしいプロ」を演じなければならない。
竹中直人の着付けは(『Shall we ダンス?』の踊り同様)顔で勝負しているだけですが(笑)、富司純子クラスになると本物の着付けを長回しで見せるんです。
そして特筆すべきは中村久美演じる踊りの先生。いやもうホント完璧。本当に踊りの先生にしか見えない。てか、いる。ああいう踊りの師匠いる。

これはアマチュアがプロの階段を登る物語ですが、早い段階で「なんてったって舞妓はアイドル、ウッシッシ」的なことを言うじゃないですか。これは、アマチュア芸のアイドルを揶揄にしたアイドル論をぶち上げているようにも見えるのです。
現役アイドルSKEだかにダラッと出演させて、最終的に岸部一徳が「全力の若さがいい」的なことを言う。これはおそらく、そういうアイドル論なんです。「全力少女サイコー!」「世界のももクロナンバー1!」っていうことなんです。ええええ、頭のオカシナことを言ってますよ、はい。

2014年9月13日公開(2014年 東宝・フジテレビ)

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