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渇き。

渇き。監督:中島哲也/新宿バルト9/
★4(70点)本家公式サイト

21世紀のハードボイルド。俺の見たいものをいっぱい見せてくれた結果、陰鬱な気持ちになるというwww
これはハードボイルド映画である。

ハードボイルドの定義は何ぞや?って話もあるが、私が思うに、まず主人公がダメ男であること。決してアメリカンヒーロー的なスマートで無敵の格好良さじゃない。家族に見捨てられ、ボロボロになって這いつくばってのた打ち回る。それがハードボイルド・ヒーロー。ま、この映画はダメ男を通り越したクズ男だけどね。
そして主人公は、誰のためでもなく自分自身の信念のために行動すること。クラリスを助ける素敵なオジサマじゃいけない。己の信念のためにマモーに立ち向かう姿こそハードボイルドである(<なぜ例えがルパンなんだ?)。
そして何よりこの映画は、真っ当な行動派ミステリーである。

私はかねがね、70年代風ハードボイルド(実際この映画のオープニングは70年代風だ)を“現代”で実践する映画が観たいと思っていた。正確には、切り取るべきは“現代の闇”であり、それをハードボイルド風味に仕上げた映画が観たかった。そしてこの映画は、それを見せてくれた。

そして私は“時系列”にこだわりがない。いやむしろ、時間順は必要がないとさえ思っている。
物語の流れ、あるいは人物の感情の流れ、ミステリーなら謎解きの流れで、時間軸が前後するべきだと思うし、むしろ回想に回想を重ねた上になんなら妄想や虚構も入り乱れて時間軸なんかグチャグチャになっちゃってる映画が好きだ。
それに加えて、私は“毒のある映画”とスタイリッシュな演出と“血しぶき”が好物である(だから『犬神家の一族』が好きなんだ)。

実にこの映画は、私の観たいもの、正確には私自身が書きたい思うような話を、見事に見せてくれた。
そしてその結果、陰鬱な気持ちになる(笑)。なんて嫌な話なんだ(笑)。

役所広司演じる主人公は、乱暴に飲食し、暴力的に性を貪る。
食欲・性欲を満たしながらも、彼は愛情に飢え「渇いて」いる。だから、なお一層暴力的に貪る。
欲求を満たしても満たしても満たされない。まさに「現代」ならではのテーマだ。

さらに言えば、この父娘は“破壊者”でもある。
そしてそのきっかけは“愛情”の“喪失”から始まる。娘は恋人の死、父は崩壊。
“愛情”の“喪失”から始まった“憎悪”が、さらに他人を“喪失”させる。
こうした負のスパイラルもまた「現代」ならではのテーマ。

これは現代でしか描けない、21世紀のハードボイルドだ。
中島哲也の映画は常に時代性を纏っている(逆に言えば、普遍性のある映画ではない)。
とても見応えのある、楽しい映画だった。いや、嫌な話だけどね。

2014年6月27日公開(2014年 日)

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