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清須会議

清州会議監督:三谷幸喜/吉祥寺オデオン/
★4(80点)本家公式サイト

サリエリの物語
この映画で感心するのは役者の良さ。
それは、西田敏行や天海祐希をカメオ出演させたなどという次元ではなく、三谷幸喜の“歴史好き”を遺憾なく発揮したキャスティングにある。

中でも大泉洋がすごくいい。秀吉役のベスト=“サル”の中の“サル”と言えば、故緒形拳先生以上の人はいまだかつて見たことがないのだが、今回の大泉洋はそれに迫るものがあった。NHK大河の時の竹中直人も悪くなかったけどね。この三人を「日本三大藤吉郎」に認定したい。
秀吉は“サル”というあだ名以外に“ネズミ”とも呼ばれていたそうで、肖像画を見れば納得いくだろう(チョコマカ動くという意味合いもあったろうけど)。大泉洋の秀吉には、“サル”と“ネズミ”が同居した感じがあった。

“時代遅れの豪傑”柴田勝家の役所広司も良かったし、「損得勘定で動く」池田恒興に今や“詐欺師顔”でおなじみの佐藤浩市を当てたのも良かった。そして何と言ってもノッペリ顔の丹羽長秀が小日向文世。これよ、この顔よ!と思ったね。

で、この映画、みんな誰に共感して観るんだろう?

“時代遅れの豪傑”柴田勝家に共感するには、間抜けすぎやしないか?
秀吉に感情移入するには、計算高すぎやしないか?

私が感情移入したのは丹羽長秀だ。
劇中、池田恒興の台詞。「俺達は、天下は取れないけど、天下人を見る目はある」。
これは、モーツアルトの傍らで嫉妬しつつもその才能に気付いてしまったサリエリの物語だ。池田恒興の言葉で語られているが、それを誰よりも分かってしまったのは丹羽長秀だったろう。

また、男の覇権争いという“表舞台”の一方で、裏ではお市の方や松姫の“女の復讐劇”にもなっている。
中でも松姫。かねてから松姫の人生はドラマチックだと思っていたのだが、この映画はその一端を見せてくれた。歴史好きの溜飲も下げるし「劇」としてもオチを付ける。素晴らしい起用。ま、ゴーリキーが適役だったかどうかは別として。
どこかで誰かが松姫中心のドラマを作って欲しいとも思うのだが、姫物は史料が少ないんでね、一歩間違えると史上最低のNHK大河「江」みたいな珍作になっちゃうからね。「お前“どこでもドア”でも持ってるんかぁ!」言うくらい江姫が瞬間移動して歴史上の重要場面に首を突っ込むからね。
三谷幸喜の時代劇は(大河「新選組」も含めて)、喜劇的に描写することはあっても史実を曲げることはない。むしろ忠実と言っていい。ま、滝川一益の扱いはアレだが。

結果、三谷幸喜の映画でいちばん良く出来ているかもしれない。

2013年11月9日公開(2013年 東宝)

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