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火の鳥

火の鳥
監督:市川崑/CS/★3(50点)本家

公開当時から馬鹿にし続けて三十余年。今さら観てみたら、思ってたよりいい話だった。
いやまあ、駄作と名高い映画ではあるんだけどね、公開当時(当時小学生)からダメ映画の臭いはプンプンしてたんだ。市川崑なんて知らなかったしね。
中途半端な実写とアニメの融合もそうだけど、神話物って現実味がなくて、ただのコスプレにしか見えないんだよね。

ところが今になるといろいろ面白いんだ。
子役の尾美としのりとか風吹ジュンとか。特撮は「爆発昭ちゃん」なんだ、とか。コスプレすら愉快になってくる。

余計なことを書くなら、ダメ映画の理由もある程度分かってて、市川崑の長く多作なキャリアの中でこの映画は、金田一シリーズの間で絶好調時期に思えるんだけど、実は下降線時期なのです。演出的にはキレキレの時期ではあるんだけど、奥さんの脚本家・和田夏十が病床に伏ていて、パートナーである彼女の不在が市川崑映画に影を落とし始める時期なのです。もう癌だって分かってたのかな。それもあって和田夏十の友人の谷川俊太郎が脚本を書いたのかもしれない。こういうことも今となっては興味深い。

そして終わってみると、ちょっとグッとくるものがあるんだよね。
人と人が争うことの愚かさ、欲に溺れる人間の醜さ。そういう「人間って愚かだよね」ってメッセージを(決して声高に叫ばずに)発している。
闘病中の和田さんは生きるための闘いをしているのに、人類の歴史は殺すための戦いをしてきた。そんな想いさえしてくる。

そしてヤマトタケルが穴蔵から出て大地を目にして言うわけですよ。世界はこんなに広いんだ的なことを。これが全部我らの世界か、的なことを。
ヤマトタケルって、日本最初の英雄だけど、殺戮魔だからね。要するに、彼が地表に出てきたことで、血で血を争う世界が再び始まるという予告でもあるんですよ。

ああ、人間て愚かだ。ま、こいつら、神様だけどな。

(1978年 日)

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