なんでも、ギマランイスという世界文化遺産の街が欧州文化首都に選定されたとかで、集中的に文化事業をやりましょう!ってんで作った映画らしい。でも逆に、「文化事業=映画」って発想は貧困な気もしないでもないけど。
基本、制約はなく自由に作れたらしい。
以下、寸評。
第1話「バーテンダー」アキ・カウリスマキ
★2
大好きカウリスマキなんだが、短すぎて物足らない。かえって目新しくない印象だけ残る。てか、これ、ポルトガルである必要あんのか?
あ、そうか。カウリスマキはフィンランド人だけど長年ポルトガルに住んでるんだそうだ。要するに、ご近所の日常みたいな感覚の映画なんだろう(<嘘つけ)。
第2話「スウィート・エクソシスト」ペドロ・コスタ監督
★1
この人は「ギマランイス・ポルトガル発祥の地」ということに反対だそうで、意地でもロケをしなかったそうだよ。だからといって政治的会話劇をやられてもねえ。『日本の夜と霧』かよ。移民(らしき人)と兵士の亡霊(らしき人)で革命ウンヌン語られても、こちとらポルトガルに関する知識がほとんどなくて、スペインにへばりついてる小国だとか、鉄砲伝来だとか、宇宙センターしか知らないからね(<種子島とゴッチャになってる)。正直、退屈。
第3話「割れたガラス」ビクトル・エリセ
★4
我々信者はエリセ神の降臨を常に待ち望んでいるわけですよ。駆けつけないわけにいかないじゃないですか(『3.11』は観なかったけど)。最後の長編は20年も前ですよ。何をしとるんですか。しかし、たまーーーに作るとね、こんな短編でも完成度が高いんだ。泣きそうなくらい立派なドキュメンタリーよ。
第4話「征服者、征服さる」マノエル・ド・オリヴェイラ
★1
「食えないジイさん」という見方もできるが、私はただのクソジジイだと思ってるオリヴェイラ。世界最高の薄っぺらい映像と薄っぺらい話を撮る人。だいたいこのタイトルとワラワラいる観光客で“出オチ”なのに、ご丁寧に「観光客いっぱいで、征服者が征服されちゃったよ。チャンチャン」って言うんだもん。いやこれ、比喩じゃなくて、本当にやるんだ。ビックリした。ヒドいにもほどがある。
「地元民の着眼点」ということでは面白いけど、歳とると体力が衰えて撮影に粘りがなくなるんだよ。
日本公開2013年9月14日(2012年 ポルトガル)
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