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サイド・エフェクト

サイドエフェクト
監督:スティーブン・ソダーバーグ/新宿シネマカリテ/★3(55点)本家公式サイト

巨匠の遺作に傑作なし。死んでないけど。てか、それ、モリタ君が通った道だから。
わずか50歳にして引退宣言した早熟の天才=スティーブン・ソダーバーグ。
「最後に放つ極上のサスペンス」という宣伝文句の本作は、冒頭からヒッチコック臭を醸し出す。すわ『日曜日が待ち遠しい!』か!?ワクワク。もし俺が映画監督でこれが最後の作品と分かってたら、やっぱりヒッチコック風作品を撮るよなあ。トリュフォーは遺作になると思って作ったわけじゃないだろうけど。

なんて思ってると、割とアッサリ離れていくのよ。
話は“副作用”のお題話みたいに、薬の副作用から始まって、殺人事件の副作用で薬害問題にまで発展。ここまでは面白かったんだ。ここで止めておくか、社会派に突っ込んでいけばいいものを、超ネタバレだから書かないけど、ここからサスペンス方面でもうひとひねりしちゃうところがいただけない。いや、それ、才人=森田芳光がやってるから。

ソダーバーグには悪い癖があって、自分で分かるから観客も同じように分かると思っちゃう面があるんだよね。
特にこうした“謎解き”は、「ここまではこういう謎があって、この謎の第一段階はクリアしましたね。皆さーん、ここまでついてきてますかー?」と中学生でも分かるように説明してやんなきゃいけないことがある。
この映画で言うなら、株式市場ウンヌンのクダリ。
ジュード・ロウは「ここんとこオカシイだろ?な?な?」っていきなり言い出すんだけど、分かりやすく作るなら、彼が不自然な点を発見する所を描写しなきゃいけないと思うんですよ。

それと、これは“あの”市川崑が言ってるんだけど、映像って謎解きに向かないのね。つまり、小説なら伏せておくことができるけど、映像って場面に映ることで観客が推測できちゃうんだ。
この映画で言うなら、キャサリン・ゼタ=ジョーンズ。
これ、全然知らない役者さんだったら何とも思わないんだけど、ここにキャサリン・ゼタ=ジョーンズが出てきたら「こいつは何かあるな」って思っちゃうじゃない。2時間サスペンスで言えば、ここに荻野目慶子が出てくるようなもんですよ。こりゃタダじゃ済まないぜ、って思うでしょ?荻野目慶子なら。

しかしクドイようですが、ほんと、途中までは面白いんだよ。
そもそも私はソダーバーグに甘いんですが、画面の切り取り方とか編集のタイミングとか、見てて気持ちいいし、サスペンスとしての風格もある。これは画家の絵筆のタッチ、小説家の文体みたいなもんなのでしょうな。いつ観ても惚れぼれする。
ああ、もう本当に早熟の天才=ソダーバーグの作品は観られないのかなあ。残念だなあ。
あれ?まだ『恋するリベラーチェ』の公開が控えてるじゃないか。

日本公開2013年9月6日(2013年 米)

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