ギミックに満ちた映像ってのは本来嫌いじゃないんですが、たいして上手くも美しくもなく、それが意味するところも不明な凝った映像を観せられ続けるとだんだん腹が立ってくる。お前、トニー・スコットじゃねーんだからよ。
ニコール・キッドマンがウェディングドレスで飛び出してくる妄想シーンで「なんじゃこりゃ?」状態でドン引き。なんだこのDT話。年上のオンナに恋する描写って、もっと巧い手法がいくらでもあるでしょうが。
こういった余計な“変化球”が目を引くもんだから、この話がすっかりザック・エフロン演じる主人公の「ノスタルジー話」という印象しか残らない。『スタンド・バイ・ミー』かっ!
ストーリーの衝撃度、テーマの面白さ、そういったものが全部消されてしまう。もっと真っ当にストレートな演出で充分面白くなるのに。変化球なんかいらない。もっと直球投げてこい!その火を飛び越えてこい!
だいたい、まずどうして黒人の使用人のバアサンの回想話にしちゃうのさ(それは監督自身が黒人だから)。
どうして黒人バアサンの思い出話で、ニコール・キッドマンがウェディングドレスで飛び出してくるのさ?ってことはいいとしても、「あの夏の出来事」って過去話にすることで得られるメリットが分からない。アバンタイトルもまた“無駄な変化球”でしかなくなってる。
俺、ニコール・キッドマンは「演技派と呼ばれたい大根女優」と思ってて、作品に恵まれないんじゃなくて彼女が作品をダメにしていると思ってるんだけど、この映画はちょっと気の毒になったわ。役者の熱演に報いる風格のない映画。ま、「性欲の強いバービー人形」ってのは適役なんだろうけど。
日本公開2013年7月27日(2012年 米)
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