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ももいろそらを

ももいろそらを
監督:小林啓一/新宿シネマカリテ/
★3(60点)本家公式サイト

女子高生物というより小悪党物。もっと良質なコメディーにできそうな気もするが、作り手はそれを望んでいないんでしょうな。
主人公の女の子が、友人たちを新聞作りに巻き込みますね。友人が惚れている男の色仕掛け使って。そもそもこの新聞作りは、この男が好きな人のために企画したことで、それを知りながら主人公はこの男に惚れている友人を騙すわけです。
「あー、分かる分かる。女子高生って自分が楽するためなら友人の気持ちなんか踏みにじるよねえ」・・・ってならないでしょ?

だからこれは“女子高生物”というより“小悪党物”だと思うんです。

小悪党とコメディーは相性がいい。ただ、小悪党物というジャンルはない。て言うか思い付かない。なぜなら小悪党はたいがい脇役だから。「ヤッターマン」のドロンジョ様とか、『若大将』シリーズの青大将とか。あ、なんだ、最初からコメディーリリーフなんだ。

この映画、小悪党の主人公とその友人たちが不快なんです。お前ら、よくそんな奴と友達やってられるな。
ところが彼女たちが新聞を作り始めるとちょっとだけ好感が持ててくる。
なるほど、彼女たちが不快なのは、「マイナス500点の新聞記事」に象徴される“不快な世の中”をそのまま受け止めて暮らしているからなんだろう。
少し視点を変えて、世の中の“いい所”に少し目を向ければ、人も少し前向きに生きられる。これはそういう映画なんだと思う。

『百萬両の壺』と同じように、一つの物(この映画の場合は財布の中身)を巡って物語が動く。オチの付け方も悪くなく、小悪党も効果的で、良質なコメディーになり得た映画だったと思う。
でもこれは良質なコメディー映画にはなっていない。
良質なコメディーに欠かせない“熱いもの”がないからだ。
いや確かに、マルクス兄弟に熱いものはないけどね。
しかし、例えば矢口史靖の映画がそうであるように、スチャラカな登場人物がマジになる瞬間。そうしたものがある方がグッとくるはずだ。
それが今時なのか、わざとクールにしようとしているのか分からないけど、この映画は意図的に熱いものを排除しようとする。
例えばこの映画なら、主人公の女の子がピンクの空にするべくもっと奮闘する手があったろう。それが何なのか分からないけど、買い集めるのに奔走するとか、重いのに苦労して運んでくるとか。ベタだけど、そういうグッとくるものがあってほしい。と思うのはオッサンだからか?

2013年1月12日公開(2011年 日)

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