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映画 鈴木先生

鈴木先生
監督:河合勇人/角川シネマ新宿/
★3(50点)本家公式サイト

鈴木式教育メソッドを見せる話ではなく、鈴木式教育メソッドの結果を見せる第11話。2学期になって席替えしたんだね。
同じくテレビ東京制作の『モテキ』同様、いや、むしろ『モテキ』よりも明確にドラマの延長線上の作品。実際、オープニングも「Lesson11」と謳っているしね。
商業的にはレンタルビデオで「鈴木先生全10話+1本」という扱いになること、あるいは映画で初めて興味を持ってドラマ版を観る、この辺が狙いなんでしょう。
実際私も、この視聴率2%台のドラマをリアルタイムで観ておらず、年末年始一挙再放送で観ました。泣いたよぉ。痛いドラマだったよぉ。
でもね、やっぱりこういう映画の商売は好きじゃない。単体として成立している映画が好き。出来ウンヌンは別として、テレビの2時間スペシャルドラマでよかったと思う。

で、結果、鈴木式教育メソッドを見せる話ではなく、鈴木式教育メソッドの“結果”を見せる話になっているように思う。

映画単体を観たら、子どもたちが出来すぎに見えるんだ。
でもね、それはテレビ全10話で少しずつ成長してきた“結果”なの。
小川蘇美はもちろんのこと、竹地も河辺も出水も岬も中村も入江も、隣のクラスの神田マリに至るまで、映画版の主要な生徒たちは皆それぞれいろんなドラマがあって、成長して、今日この2学期を迎えているのさ。その成長の過程を見ちゃうとね、なんかこう、愛おしくて胸が熱くなる。

この話(というか原作漫画)の最大の肝は「鈴木」というありふれた先生の名前にあるんだと思うんです。
「金八」などという特殊な名の特殊な熱血説教高慢オヤジでもなく、元ヤンキー「鬼塚」などという特殊な名の特殊な設定でもない。
ありふれた名前の普通の人が、心持ち一つで実践できる教育法。
そんな普通の人でも実践できる“改革”が、多くの人々(生徒たち)に派生して世界を“変革”できる(かもしれない)。
(でも映画だと凄く特殊能力を持った人みたいに見えちゃうんじゃないかな?)

普通の人の話は物語にも大きく影響している。
映画もドラマも、普通の生徒を大きくピックアップする。
教師は問題を抱えた手のかかる生徒に時間を裂かれ、手のかからない普通の生徒まで手が回らない。普通の生徒(大人から見たいい子)の“摩耗”で学級運営は回っている、と鈴木先生は言う。
このテーマを映画は拡大し、クラスから学校全体、そして社会の中の「摩耗された普通」を取り上げる。

皆が少しずつ考え方を変えれば世界は変わる。青臭いことを言いますけど、私は真剣にそう思うんです。
マルかバツかという単純な二極論でなく、グレーゾーンも息抜きも社会には必要なんです。今の世の中、短絡的になりすぎてる上に息苦しすぎる。この映画を観て、とても共感しました。
そして、中学生にしては大人びてる小川蘇美がモテるのは当然だと思うけど、大人になったら中村ちゃん(未来穂香)の方がいいオンナになると思うんだよね、という感想を添えて私の長い演説を終わりにしたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。

2013年1月12日公開(2013年 テレビ東京)

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