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ラストデイズ

監督:ガス・ヴァン・サント/キネカ大森
★3(68点)本家

劇中歌がすべて。
どうも。鑑賞後2ヶ月近く経ってるのに、いまだに『ロック・オブ・エイジス』が腹立たしいペペロンチーノです。そしたらキネカ大森名画座でロックな死に様映画をやるってんで、「だってカートみたいだから、あたしがコートニーじゃない」と歌いながら遠征してきたよ。いやまあ、ニルヴァーナに特別な思いはないんだけど、あの80年代のロック歌謡を終わらせてくれたバンドだと思ってるよ。

基本的にこの映画、カッタルイんだ。無駄な長回しとか、意味の分からないカット尻の長さとか。
けど、「Death to Birth」だっけ?ワンカット・アコギソロの劇中曲を聞いた時、その前のワンカット一人演奏も合わせて、「この人は音楽のために生まれてきた人なんだ」と思った。それがカート・コバーンかどうかは別として。

それが分かったら、この映画の全貌がすごくクリアに思えてきたんです。
彼がこの家で過ごした数日間は、この曲を生み出すための時間と空間だったんだと。そしてそれは、生きるためでも死ぬためでもなく、再生するためだったんだと。

もしかするとこの空間は、黄泉の国みたいなもんで、生と死の境界線だったのかもしれない。
そこに訪れる広告屋やモルモン教徒や私立探偵。それが何を意味する“記号”なのか、私には正しく読み取れませんが、何やら世俗の諸々の象徴のような気がするのです。
彼にまとわりつく世俗の諸々を振り払って、ただ純粋に音楽に身を投じる。それはたぶん、静かな魂の叫びなのでしょう。そして彼は、音楽の神様に召され、再生するのです。

いい映画だ。

(2005年 米)

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