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るろうに剣心


るろうに剣心
監督:大友啓史/ユナイテッドシネマとしまえん/
★3(50点)本家公式サイト

ナ・マ・ヌ・ル・イ
どうも。歴女という女性に実際お目にかかったことのないペペロンチーノです。

「るろ剣」はマンガ原作も読んだことがなければアニメも見たことはなく、無知・未知の領域。ピチピチGALという言葉は死語かもしれませんが、私はムチミチGUYというわけで、今回の実写化に何の思い入れも感慨もありません。
ただ、アニメ主題歌がただのタイアップ曲になり始めたハシリ(エンディング曲はともかく)という印象があり、デビュー当時からファンのジュディマリや川本真琴が世間の脚光を浴びる喜びと商業主義に堕落していく苦々しさを同時に味わったアニメでもありました。JAMの「LOLITA A-GO-GO」と川本真琴の「愛の才能」は俺のカラオケ定番です。どうぞよろしく。

その上何の事前情報も持たず、映画を観て初めて蒼井優先生がご出演なさっていることを知ったような有様で、まったくフラットな心持ちで鑑賞した結果、「つまらなくはないけど気持ちが入らない」というのが正直な感想なのであります。

考えてみれば、監督の大友啓史、この元NHK職員の演出作、「ハゲタカ」にせよ「白洲次郎」にせよ大河「龍馬伝」にせよ、いずれも数々の受賞をした評判の大作ですが、私はどれもこれもあまり好きではない。話は面白いけど観ていて気持ちが入らないドラマたちだったように思うのです。この映画と同じじゃ。アクション映画なら尚更のこと、感情の乗らない流麗なアクションはナマヌルイだけなのです。

その要因として考え得るのは、一見凝ってるけれど、あまりツボを押さえているようにも思えない画面(えづら)。
フレームの外を意識させることはなく、見せたいものは常に画面の真ん中か台詞処理。そのくせアクションシーンはちゃんと映さない。アクションシーンを「役者のアクションを見せる」ことではなく「カメラが動く」ことだと勘違いしているじゃないのか?

例えば、留置所から出てくる佐藤健を武井咲ちゃんが迎えるシーン。
これはもっと映画的な“情景”があってほしい。だって、二人の気持ちが通い合うシーンなのですから。
スローモーション等を使えと言ってるわけではありません。雨を降らせるのも結構。ですが、変にカットを割らずに、もっと役者を信頼して、監督の掌の外で偶発的に発生する“映画的な瞬間”に身を委ねるのも演出ではないでしょうか。

役者を信頼せずにショットの積み重ねだけで(監督の想像力だけで)演出した結果、役者が想像力以上の力を発揮していないのです。まったくナマヌルイ。これだけの役者を揃えながらもったいない。
おそらく香川照之の造形の理想形は『バットマン』のジョーカー=ジャック・ニコルソンの怪演でしょうし、吉川晃司の造形は『ダークナイト』のジョーカー=ヒース・レジャーの怪演でしたでしょう。ジョーカー縛りかいっ!こんな活かされないナマヌルイ蒼井優先生を見たのは『鉄人28号』以来だ!

例えば、拉致された武井咲ちゃんの着衣がシッカリしてるのね。あれ、もっと胸元とかはだけててほしい。いや、エロい意図ではなく。
「もしかして吉川晃司にヤられちゃった!?」と思うくらいの着衣の乱れがあっていい。もちろん直接描写する必要はないし、この映画でそんなことができるはずもないんですが、そういう「フレームの外」を感じさせてくれる描写が“映画”には少なからず必要なんです。連ドラは長い時間をかけてキャラクター造形を描写できますが、時間の短い映画はちょっとした台詞回しや仕草等でキャラクターが膨らむのです。
この場合、敵役は強大で圧倒的な“悪”でなければ、主人公の感情の爆発に結びつかないと思うのです。この敵役、そもそも他人の名前を語る動機が不明な辺りからナマヌルイんですよ。目玉を青くすりゃいいってもんじゃない。

だいたい「殺さない」って主人公のスタンスがナマヌルイ。
座頭市を見てみろ。殺したくない相手は足だけ斬ったりしてるぜ。
ナンダカ言う必殺技で「右腕の腱を切った」的なことを言うけど、それはマンガだから有効な“台詞処理”であって、映画的な“画面”としては右腕をバッサリ切り落とすべきなんですよ。血しぶき上がってナンボじゃろーがっ!ぶち殺したい程の憎悪を抱えて、それでも「殺さない剣」という葛藤がドラマなんじゃないのか?だから武井咲ちゃんはヤラれちゃうか殺られちゃうべきなんです。ヤッちまいな!

え?それじゃ「るろ剣」じゃないって?そもそもそんなナマヌルイ原作を実写化すんなや!

と、いうようなことを滔々とヨメに語ったところ、「夏休みのお子様映画に何を目くじら立ててんだ、このオッサンが。ピチピチGALとか言ってんじゃねーよ」とたしなめられたよ。

2012年8月25日公開(2012年 ワーナー・ブラザース)

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