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私は貝になりたい(2008年)

監督:福沢克雄/TV/★2(23点)本家

んー、これが橋本忍の遺作かぁ。あれ?まだ生きてる?あれ?『砂の器』のリメイクだっけ?
オリジナルと比較しようにも、遠い記憶すぎてあまり覚えていない。

橋本忍自身が監督した映画版(1959年)は観ていない。所ジョージが主演したテレビ版(1994年)も観ていない。
私が観たオリジナル版は、ラジオ東京(TBSテレビの前身)が1958年に制作した、オリジナル中のオリジナルのテレビドラマ。たしか中学生か高校生の頃、なぜかNHKで観た。
Wikipediaによれば「1983年ごろ:NHK教育テレビにて、テレビ放送30年を記念した特別番組の中で放送」とあるので、私の記憶とほぼ一致している。もっとも、そんな昔の記憶に頼らずとも、今じゃDVD化されてるらしいがな。
私の中高生の頃は「伝説のドラマ」として名前だけは有名で、「Zガンダム」放映開始時には幽閉の身のアムロが「私はカイになりたい」と言ったとか言わなかったとかいう冗談が流布したほどだ(私の周囲だけ)。はぁ?カイ・シデンを知らないだとぉ?

技術も未熟なテレビ創世記に作られたドラマは、前半は一発撮り、裁判以降の後半は生放送だったそうだ。そりゃもう、作品としての完成度は低いもんさ。だから、今の技術で再生させることは悪いことではない。中居君が主演であることで、この手の話に興味のない若い世代が興味を持ってくれるのも悪くないと思う。「ドラマのTBS」の礎となったドラマを、50年後にTBSで一番視聴率の取れるディレクターが監督した“意気込み”も分からんではない。

でもこの映画、音楽も含め映画全体が「それ泣け、やれ泣け、もっと泣け」とうるさい。

この福沢って演出家、「砂の器(中居版)」や「さとうきび畑の唄」や「華麗なる一族(キムタク版)」や「南極大陸」などを手がけているのだが、私はどれもこれも好きではない。この人の演出は、一見オーソドックスで猿でも分かる演出なんだけど、微妙にダメで猿にしか喜ばれない演出なんだよ。キムタクともっぷんくらいの違い。カッコよくない。「いかにもなシーンでスローモーション!ダッサ!」って感じ。

いやもう、制作側みんながこの作品の捉え方を間違ってると思うんだ。
この話、“感動巨編”じゃなくて、どっちかって言うと“サスペンス”だと思うんだ。
ひょんな事から死刑を宣告された男の恐怖。平凡な人生を簡単に狂わせてしまう戦争の“真の”恐怖。「泣き」の話じゃなくて「恐怖」の話。むしろ「ヒッチコック劇場」に似た感触だったと思うんだ。いやまあ、大昔の俺のアヤフヤな記憶だけど。

あ?橋本忍自身がリライトした?
『幻の湖』で晩節を汚した90歳の爺さん、もはや『砂の器』と区別が付かなくなってんだよ(橋本先生すいません、言い過ぎました)。

(2008年 TBS=東宝)

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