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ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女

監督:ニールス・アルデン・オプレヴ/CS/★2(49点)本家

先に観たハリウッドリメイク版も釈然としなかったが、オリジナルを観てもやっぱり釈然としない。んー、小説なら面白いのかなぁ?
何が一番釈然としないって、リスベットと保護観察官のクダリ。
このオリジナルもハリウッド版も丁寧に描かれているんだが、映画として、このクダリいるか?
原作未読なので知りませんが、シリーズ小説としてはともかく、2時間半程度の映画の尺ならバッサリ全部カットしても話つながるぜ。どうせ元々調査員なんだし、個人的な事情は関係なく依頼があれば仕事するわけでしょ。むしろバッサリカットした方が、40年前の謎解きに観客が没頭できると思うんだが。
なんなら、リスベットが出てこなくていいくらい。主人公一人が孤島で孤独に謎解きした方がミステリーとして面白いと思う。そもそもネットはおろかコンピュータすらない時代の事件を紐解くのに“ハッカー”なんか役に立たないじゃん。

しかし、ミステリー映画としての完成度を落としてでも“リスベットと保護観察官のクダリ”を描写するからには意図があるんだろう。
フィンチャー版の際も書いたが、この話における女性は常に“男性に陵辱される被害者”として描かれている。
このポイントの一つは、40年前の謎が明らかになるにつれ、リスベットが被害者に自己投影するという仕掛け。オリジナル版の方が、ミカエルも含め「過去との対峙」が鮮明であるように思う。
もう一つ別のポイントとして、ジャーナリスト出身で反ファシズムの原作者が、スウェーデンに根深くある女性蔑視思想を炙り出そうとした点。だって、いくら肩がぶつかったからって女性は殴らないでしょ、街のチンピラだって。
いやまあ、原作未読なので、勝手な憶測ですけどね。

しかしこの話、リメイク版を先に観てしまってストーリーが分かってしまうと面白くない。
なぜなら、「ミスリード」で支えられた犯人探しミステリーに終始しているから。
小説だったら「読んでて騙された!」って感動にも似た驚きがあるんだろうけど、映像って本来謎解きに向かないからねえ。

映像化したミステリーの面白さって、犯人探しじゃないんですよ。
犯人と刑事(探偵)の駆け引きパターンというのもあるけど、犯行動機を白日の下に晒すことで、人間の“業”を描くということにある。
実は犯人探しなんてもんはたいして重要じゃない。最初から岸恵子だって分かってたっていいの。問題は「謎解きの先にある何か」なんだから。

この映画は、もちろん犯人との駆け引き(頭脳戦)ではないし、謎解きの果てに(狂気の人間以外の)何かを提示しているように思えない。
てか、謎解きすらしてないよね?
ちょいと追い詰めたら、犯人やら何やらが勝手にベラベラ喋り出しちゃうじゃん。釈然としない。

(2009年 スウェーデン=デンマーク=独)

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