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おおかみこどもの雨と雪

おおかみこどもの雨と雪監督:細田守/新宿バルト9/
★4(70点)本家公式サイト

とてもまっすぐで分かりやすくいい話。まっすぐ分かりやすくいい話すぎて面白くない。
最初に誤解のないように言っときますが、いい話です。
これから延々悪口を書きますが、決して嫌いじゃありません。細田演出は巧いしね。
嫌いじゃないけど、また観たいかと問われれば疑問。何度観ても(この歳になったら)新たな発見がある映画じゃない。

とても分かりやすい映画です。
どこまでどう意図されているか知りませんが、好きになってはいけない人を好きになってしまった暗喩ともとれますし、障害を持った子供を持った母親の暗喩ともとれます。子供の成長の話でもあり、母子家庭奮戦記であり、母親の子離れの話でもあります。
この映画を観た若者達は、親がいかに苦労して自分を育ててくれたかを感謝し、子連れの親たちは、いずれ巣立っていく我が子を想像して涙するかもしれません。私の歳になったら無駄ですが、若い人が年齢を経てこの映画を再鑑賞したら新たな発見があるかもしれません。
実に分かりやすくいい話。

しかしこの映画で描かれる「分かりやすくいい話」は、学校教育的な正しさだけを纏い、表面上描かれている以上の「何か」は存在しないように見えるのです。

萩尾望都先生が「イグアナの娘」を世に放ったのが20年前。宮崎御大の『もののけ姫』が15年前。
イグアナ娘や山犬として生きる少女という“異形の者”を投入したこれらの作品が、母に愛されない醜形恐怖症の娘であったり、自然と人間は共生できない宣言であったり、表面上は難解さを纏わずに高い次元で物語を展開したのに比べて、どうなのよ今日のこの映画は。

作者が異形の者を持ち出すからには必ず意図がある。本当に優れた作家は、本当に描きたい事を隠すものです。我々はその意図=表面上では描かれない物語を読み解くべく、格闘してきたものです。人によって解釈が異なり、あるいは観るたびに新たな発見をするのが物語の面白さなのです。
なんだ、この映画のテイタラクは。
誰が何度観てもほぼ変わらない解釈しか出てこないじゃないか。
ここまで分かりやすく作らないと、今時の観客にはご納得いただけないのか。
そもそも「学校教育的な正しさ」ってツマラナイんだよ。
先に「自身の親子関係を想起させる」といった趣旨のことを書いたが、同じ感想は『東京物語』でも持つだろう。だけど『東京物語』だって、決して学校教育的に正しい話じゃないぜ。

「おおかみこどもって面白い絵になりそうだよね」って一発アイディアだけのような気がしてならない。
日本のアニメは技法ばかり進んで物語の作り方は後退しているのか?そうなのか?そうなんだろ?

2012年7月21日公開(2012年 東宝=日テレ)

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