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アーティスト

アーティスト監督:ミシェル・アザナヴィシウス/渋谷シネマライズ/★3(68点)本家公式サイト

情報の消去によって引き出す映画らしさ。
ハッキリキッパリ言って、話自体は特に面白いわけではない。
だが、この映画の面白さは、既に多くの方が語っているように、台詞や効果音という「音声情報」を消去し部分的に使用することで、その効果(「音声情報」が本来持つべき“力”)を引き出したことにある。
(同様に「色情報」を消去し、パートカラーでその効果を引き出した映画も多々ある)

加えて、映画のメインは「画面」であるという、映画本来の“らしさ”を引き出したことも、音声情報を消去したことで引き立っている。
脚だけ見せたダンスバトルで親しくなる二人。片袖一人ラブシーンで表現する愛情。テイクを重ねるごとに近くなる二人の距離。
今時の映画は「画面(えづら)」の面白さを忘れている、ということを気付かせてくれる。CGに頼るんじゃない!何でも3Dにすりゃいいってもんじゃない!

同じ年にアカデミーを争った『ヒューゴ』と、サイレント期の映画を題材に取り扱っていることから比較されることが多いが、その扱いは決定的に異なる。
『ヒューゴ』はサイレント期の映画人にスポットを当て、CGをバリバリ使用した上に3D上映で画面の情報量も多く、いわば「現代的な映画」の中でサイレント映画を“回顧”した映画だった。今にして思えば、意図的に「情報過多」にしていたようにさえ思う。
一方、『アーティスト』がスポットを当てているのは、人ではなく“技術”である。
特別目新しい技術を用いず、情報量を消去することで素材本来の旨味を引き出している。
例えて言うなら「干ししいたけ」みたいな映画だ(<その例えは分かりやすいのか?)

つまり、昨今の流行映画が「ガッツリしたステーキ」で、より刺激的にするために「熱々鉄板!」「サイズもビッグに!」「特別なソース!」と言ってる一方で、この映画は「上質のステーキ肉を少量、塩だけで味わってください」という映画だと思う(<その例えも分かりやすいのか?)

日本公開2012年4月7日(2011年 仏)

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