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GANTZ

監督:佐藤信介/TV/★3(56点)
本家公式サイト

これって、サラリーマン悲哀物だろ?
訳の分からん不条理な指示を与えられて、それを拒否する選択肢は与えられず、ただノルマをこなすことだけが果てしなく続く・・・なんて、サラリーマンは日々同じ事やってるよ。命を落とさないだけで。

そういう「サラリーマン悲哀物」だと思って観ると、なかなか面白い。
好成績あげて図に乗る奴が出てきたりとか、戦線離脱する奴がでてきたりとか、世の中ってそういうもんだよね。

日本を代表するサラリーマン映画と言えば植木等の「無責任男」シリーズだが、これは「モーレツ社員」などという流行語を生み出した高度経済成長という時代背景があるように思う。つまり、戦後の焼け野原から復興することを目標に、誰もが「猛烈」に働いていた時代に、平均(たいらひとし)と名乗る謎の男が、実に軽やかに、スチャラカに、出世街道を登って行くからこそ英雄視されたのだ。

もう一人の日本を代表する“スチャラカ”サラリーマン=『釣りバカ日誌』シリーズのハマちゃんは、完全に時代背景が異なる。
原作漫画および映画シリーズの初期はバブル時代に始まっているが、このリゲインを飲みながら戦うビジネスマンの時代に、戦いから降りたサラリーマン=ハマちゃんだからこそ物語の主人公足り得たのだ。これ、今だったら、ただの仕事のない人だもん。

そして近年、『蟹工船』などが(今さら)映画化された背景には、「ワーキング・プア」などという言葉が生まれた時代背景があるように思う。『GANTZ』はこの延長線上だ。働けど働けど、我が暮らし楽にならざり。なんだ、石川啄木の時代に戻っただけじゃん。

実はこの「じっと手を見る」近年の社会状況の少し前に、若者の「自分探し」の時代がある。
とにかくがむしゃらに働いた「モーレツ社員」時代から「ジャパニーズ・ビジネスマン」を経て(その目的は国家や組織の成長から私欲へと変遷しているが)、経済成長が止まった時に、はたと「あれ?俺、なにやってんだろ?」と気付いてしまった時代があったのだ。
それが、おそらく親の世代の喪失感を目の当たりにした若者世代に社会現象として現れたのが「自分探し」だったのではないだろうか。

そして、この「自分探し」の時代が、働けど働けど「じっと手を見る」時代から今日の「働きたいのに仕事が無い」時代へ影響を及ぼしていると、私は勝手に思っている。
自分が何者か考え、精神的なゆとりを持つことは「人」として重要だ。しかし「社会」にとっては不要なのだ。「社会」という得体の知れない“生き物”が不要と判断しているに違いない。
蟻の巣を考えてみればいい。蟻の巣は「社会」だ。「個」の働きがなければ「社会」は動かないし、「社会」の中でしか「個」の存在意義がない。そんな中で「俺はどうして働き蟻なんだろう?」なんて考えている蟻は不要なのだ。
「社会」という得体の知れない“生き物”が「GANTZ」なのだ。そこ存在意義を求められる「サラリーマン」。仕事とは何か、働くとは何か、ということが問われている映画だ。

え?この映画、サラリーマン物じゃないの?

2011年1月29日公開(2011年 日)

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