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源氏物語 千年の謎

源氏物語監督:鶴橋康夫/吉祥寺東宝/
★3(50点)本家公式サイト

映画としてはダメダメの上にダメダメこの上ないんだけど、日本最古の下衆な通俗小説「源氏物語」の面白さの本質はとらえている。意外に盛り沢山だし(笑)。語りたいこともいっぱいあるし(笑)。
鶴橋康夫という人の演出は、『愛の流刑地』は観てないけれど、テレビドラマはかなり観ている。フォギーやミラーといったフィルタを多用し、過剰な逆光で基本的に画面が“白い”。悪く言えば“安っぽい画面”。
黒澤の『天国と地獄』を佐藤浩市でリメイクした時なんてね、何のために現代に舞台を移して焼き直したんだか、ってのが率直な感想だった。

この映画も同じ。
何のために今時「源氏物語」なんか映画化するんだか
(角川歴彦は和製『ダヴィンチコード』をやりたかったらしい)。
そんなこと言う俺は何のために観に行ったんだか。
いやまあ、今時の女優たちがいろんな女君演じるのが楽しそうだなって思ったの。
これねえ、それぞれの時代の女優陣でやるべきですよ(<さっきと言ってることが違う)。

映画としてはこの上なく出来が悪くて、立派なロケ場所借りられたら引きの画、それ以外はアップ多用の顔芝居のオンパレード。
冒頭の中谷美紀と東のラブシーンなんて、そこどこだ!セットか!セット丸出しかっ!ってなもんだし、田中麗奈は『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』やらされてるし、室井滋は浮いてるし、何だか佐久間良子が突然ドラマ持ってっちゃうし。

ツッコミ入れ出したら切りがない映画なんだが、あえて褒めるとすれば、意外に盛り沢山だったこと。
東儀秀樹は笛吹いてるし、東は踊ってるし、多部ちゃんは困った顔してるし。
安倍晴明は悪霊を退散させてるし、藤原道長は「望月の歌」を読んでるし。てか、そこか?そこで読んだのか「望月の歌」?あ、またツッコんじゃった。

言うほど盛り沢山じゃないんだけど、本当は原作が盛り沢山なんだよ。
歴史的な価値は別としたら、文学的には「ハーレクイン・ロマンス」か「レディースコミック」みたいなもんですよ「源氏物語」なんて。もしくは「女性自身」。

マザコン(桐壺)、忘れられない初恋の人(藤壺)、不倫(藤壺)、夫婦不和(葵)、逆ナン(夕顔)、年上の女(六条御息所)、ストーカー(六条御息所)、映画じゃ扱われてないけどロリコン(紫)、妻の不貞(女三宮)、単身赴任先の愛人(明石)、ブス(末摘花)、ヤセ(空蝉)、デブ(軒端荻)、熟女(源典侍)、親父のヨメの妹(花散里)とかライバルの妹(朧月夜)とか、もうヤリたい放題。

そう考えると、
「超が付くほどドマザコン男が、亡母に瓜二つの初恋の人を忘れられず、その欲求不満の捌け口に年上の女に手ぇ出したらこれが恐ろしく嫉妬深い女で、正妻や愛人が惨殺されるホラー」
という「源氏物語」の面白さの本質をよくとらえた映画だと思う。意外に面白かったよ。

いやまあ、「源氏物語」って、シリーズ続編によって“因果応報”の物語が鮮明になるんだけど、最初から“因果応報”の物語が面白さの本質なんだろうけどね、本当は。

2011年12月10日公開(角川=東宝)

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