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CUT

CUT監督:アミール・ナデリ/シネマート新宿/
★2(25点)(本家/公式サイト

たかが映画じゃないか。
映画は芸術なのか、娯楽なのか、昔からよく語られる問題だが、私はどっちでもいいと思っている。
芸術的な映画もあれば、娯楽映画もある。
小説だって、絵だって、音楽だって、みんなそうじゃないか。
何も映画だけが特別じゃない。

ま、映画が特別な点は、(基本的に)一人じゃ作れないし、カネがかかるという点だ。
映画監督というのは、「表現」を生業とする者の中では、かなり制約が多い職業だとは思う。
もっとも建築家ほどじゃないけどね。あれは、いくら素敵な設計をしてもニーズがなければ決して日の目を見ることはないから。

この映画の言いたいこともやりたいことも分からなくはない。

商業主義の映画を批判すると同時に、「金さえもらえばいいわけじゃない」と自らの肉体を酷使する。
要するに、骨身を削る主人公の行為そのものが、この映画で言うところの「本物の映画」なのだ、ということなのだろう。知らんけど。

確かに、しょーもない商業映画ばっかりで、海外の優れた作品などが紹介される機会がおそろしく減っているとは俺も思う。
しかし、この映画の訴える思想には重大な欠陥があると思うんだ。

どの時代でも糞みたいな映画は山ほど作られてきたんだよ。
その中で、優れた映画だけが今日まで語り継がれているだけさ。
さらに言えば、この映画で言うところの「芸術」である名作映画は、必ずしも作り手が「芸術」を目指していたとは限らないと思うんだがな。
ただ単に、監督の「美意識」に忠実だっただけだろうよ。
だから、「今の映画制作者には美意識が足りない!」という批判なら、納得しないこともない。

ああ、あと、この映画で言うところの「本物の映画」を作れる環境・上映する環境がないという問題だが(実際、シネコンばかり増えて単館系映画館は減っているのだが)、お前が墓参りに行ってる黒澤も溝口も小津も商業映画の中で成功を収めた人じゃねーのかよ、ってことですよ(そして三人とも挫折期間があるさ)。
そりゃ新藤兼人は違うけど、彼だって商業映画の脚本を山ほど書いて資金稼いだんだから。

俺はこの映画を観ながら、ずっとヒッチ先生の名言を思い出していたよ。

「たかが映画じゃないか」

2011年12月17日公開(2011年 日)

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