September 2018  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

ブレードランナー ファイナルカット版

監督:リドリー・スコット/BS/★5(92点)本家

あらためて観ると、ディックというよりチャンドラー的な気もする。
唯一観ていなかったファイナルカット版をBSで観たのを機会に、この史上最大のカルト・ムービーのコメントを初めて書くよ。ドキドキ。
今となっては慣れてしまったが、初めて観た時はすごーく感動したんだよね。それがどのバージョンだったか、もはや覚えちゃいないけど。

こんなことを書くとお叱りを受けるかもしれないが、『エイリアン』と『ブレードランナー』という映画史に残る2大傑作SF映画を作ったことで、リドリー・スコットは過大評価されてしまった気がする。
トム・クルーズの『レジェンド』とか、あのロン毛が伝説だって話ですよ(<だったら『レジェンド』で書け)。

これは後(つまり今)になって分かることだが、リドリー・スコットは決して巧くない。
言い方を変えれば、「流麗に語る」ということが得意ではない。弟は過剰なほど流麗なのにな。
しかし、流麗に語らない“味”がある。いや、「あった」という方が正しいか。
まあ、とにかく、流麗に語らない味が、この映画の世界観とテーマと時代に上手くはまった気がする。
この映画の深遠なテーマを、より深遠たらしめているのは、「流麗じゃない語り口」に違いない。
要するに、観客に思案させる映画なのだ。

興味深いのは、リドリー・スコットが残した2大傑作SF映画、『エイリアン』と『ブレードランナー』には、不思議な共通点があることだ。
『エイリアン』はSFでありながらまるで「ゴシックホラー」のようであり、『ブレードランナー』はSFでありながらまるで「ハードボイルド」のようである。
あらためて観たら、デッカードにはフィリップ・マーロウのイメージを重ねてるように見えたんだよね。と思って調べたらWikipediaに似たようなことが書いてあったよ。Wikipedia情報を鵜呑みにしちゃいけないけど。

で、これら古くからあるジャンルとの融合によって、単なる科学趣味や宇宙趣味に陥りがちなSF映画を、きちんとした「人間的な物語」として構築できたんじゃないだろうか。
いやまあ、ただの結果オーライかもしれないけど。

レプリカントという「人間に非ざる者」を通じて「人間とは何か」を問う。

これは、設定そのものが、ストーリーはおろかテーマの根幹に関わる大変優れたSFの代表だ。
そして、「人間とは何か」というテーマは、人類普遍の永遠の課題だ。
それを「観客に思案させる」語り口で魅せる。

独特の世界観に目が行きがちだが、それだけではない「史上最大のカルト・ムービー」になるだけの要素があったんだよ。
公開当初は不入りだったけど。

(1982年 米)

comments

   

trackback

pagetop