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ハンナ

ハンナ監督:ジョー・ライト/新宿ピカデリー/
★3(60点)本家公式サイト

美人(美少女)殺し屋モノを期待したら狼少女モノだった。嫌いじゃないけど。
実は“美人殺し屋”モノが好きだったりする。
“美少女”と言わない所がミソ。
たしかに『キック・アス』ヒット・ガールは文字通り俺の心にヒットしたが、“ギャップ萌え”に妖精的な魅力を見出しているわけではない。
『ニキータ』『親切なクムジャさん』『キル・ビル』『ソルト』『ブレイブ・ワン』。
ちょっと思い出しただけでも私はこれだけの“大人の女性”の殺し屋モノを好んで観ている。
ああ、少女だと『マッリの種』(ビデオ販売時のタイトルは『ザ・テロリスト 少女戦士マッリ』)なんてインド映画もわざわざ映画館に行ってるな。
でも、何と言っても一番カッコイイと思っているのは、『グロリア』ジーナ“熟女”ローランズだしね。

どうしてかは分からないが、根本的に殺し屋モノは好きなのだ。おまけにそれが美人ときたらヨダレもんなのである。ジュルジュル。

ところが、映画は意外にも“狼少女”モノの要素が強い。
オオカミが来たぞー!っていう狼少年ではない。
「狼なんか怖くない」という石野真子的なことでもない。
要するに“隔離された世界で育った少女”モノである。
ストレートに『緑の館』なんて珍作(?)もあるが、生まれつき病弱で病室の窓から見える世界しか知らない、なんてのも実は狼少女モノと同じだと思う。

実は“狼少女”モノも嫌いじゃない。
私は「海を知らない者(男でも女でも)が初めて海を見る物語」というものに憧れている。
まあ、四方を海で囲まれた島国で俺の海だのナンだのと加山雄三が歌うこの日本で「海を知らない」という設定は現実味が無さすぎるが、この物語には“隔離された世界で育つ”必要がある。
そういう意味で、狼少女モノは嫌いじゃない。決して毛むくじゃらな女性が好きなわけじゃない。

おそらく私が好きなのは、「美しい物を初めて知る感動」なのだと思う。
これを強い感動の物語にするには、隔離され、ある程度成長してから“初めて触れる”ことが必要なのだ。
この映画は、それを“音楽”に設定した(あまり活かされていないけど)。
気がつけば、殺し屋少女が殺意を持って挑むのはたった一人。
後は、脱出するための殺し以外は、ほとんどが逃げているのである。
そしてその逃亡劇の中で、彼女は友を知り世界を知り自分を知っていく。

おそらく、文芸畑(と思われている)ジョー・ライトは、いやまあ、美少女殺し屋モノをやりたかったんだろうが、どこかで少女の成長譚をやりたがっている。
超人よりも、(心理的に)等身大の少女を描きたがっている。
加えて「グリム童話」を持ち出し、この映画そのものを「現代の寓話」にしようとしている。

たぶん、他の殺し屋モノと一線を画して面白い所であると同時に、ストレートに面白くない所は、この「どっちつかず」さにあるんじゃないだろうか。
いや、嫌いじゃないんだ。

余談

他に『つぐない』しか観てないけど、ジョー・ライトって、意外と壮大なスケールの話を取り扱ってるんだけど、大作感がないというか、結構小ぢんまりした佳作にする(しちゃう?)監督の印象がある。
あと、ケレン味たっぷりの演出や、音楽とか音の付け方も面白いと思うんだけど、ケミカル・ブラザースの音楽は少し我を張りすぎてうるさい。

日本公開8月27日公開(2011年 米)

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