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ブラック・スワン

ブラックスワン監督:ダーレン・アロノフスキー/吉祥寺オデオン座/★5(90点)本家公式サイト

ナタポーに喝采を!
一見話が破綻しているように見えなくもないが、映画は徹底して主役のナタポーの“主観”で描かれていて、その感情の流れから考えると、実に自然な流れなんですね。
劇中の「白鳥の湖」とそれを演じる彼女がリンクしていることを考えれば、この映画は「魔法にかけられた女の主観で描かれた映画」ということになります。
そりゃもう、何が現実で何が妄想か分からないし、分からなくていいんですよ。
この映画で感心したのが、バレエって客観的な視点で綺麗に見せたくなると思うんですが、冒頭からガンガン手持ちカメラで「これは主観的な視点での映画ですよ」宣言をしてるんですね。

この映画で描かれているのは、彼女の不安や苦悩や病んでいく精神やその解放の“視覚化”だと思うんです。
だから、ずーっと不穏な空気が流れていて、それでいて安っぽいホラーや単なるビックリ映画に終わらない。というかそれが主目的じゃない。

むしろ、予測可能な「約束された結末」(だって白鳥は死ぬってずっと言ってんじゃん)に向かって、ド直球を投げ込んで力でねじ伏せた感すらある。
ナタポーの鬼気迫る黒鳥は、スピルバーグ『ジョーズ』のサメがガーッって口開けるのと同じ様な「どうだー!これが映画だー!」っていう力でねじ伏せるド直球感があった。
お見事。本当に喝采したくなった。
うわー映画観たーって感じもしたし、本当に見事なバレエを見たらあんな風に羽根が見えるんだろうなと思った。

ダーレン・アロノフスキー作品は『レスラー』とこれしか観ていないし、ともに肉体を酷使する職業の話だからかもしれないけど、とても“肉感的”な映画を撮る人だと思う。
肉体の痛みと精神の痛みがリンクする一人称映画。
そんな印象。

余談

ヴァンサン・カッセルとウィノナ・ライダーをウヒウヒ見られたのも加点ポイント。

日本公開5月11日(2010年 FOX)

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