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幸福



監督:市川崑/CS録画/★5(92点)本家

喧騒と排気ガスの中で這いずり回る小さな小さな人間たち。市川崑が切り取った“昭和”。
当時、おそらく市川崑久々の現代劇で、市川崑的には“今”を切り取りたかったに違いない。

自動車は排気ガスを撒き散らし、電車はひっきりなしに走る。
高度成長期の末期。取り残されたようなバラック。
変わっていく時代の中、変わっていく人の心と変わらない人の心を描く。

日本唯一の「シルバー・カラー」作品ということで、正直「銀残し」と何が違うんだか分からないが、市川崑は「多くの色が氾濫するのを避けたかった」そうだ。
何となく分かる気がする。
この映画は、とても情報量が多い。
ストーリーよりも、画面の中の情報量が多い。
意図的に狭苦しい室内や街。その一方で、地方の開放感(引きの画)。

市川崑の選んだ“色”は、観客の眼に与える情報量のコントロールと同時に、(当時の)“今”がまた移ろいゆくものであることを意図しているのではないだろうか。

余談

「銀残し」と「シルバー・カラー」は実は同じなんだが、20年の間にフィルムの発色が良くなりすぎて、技術的にかえって難しかったそうだよ。

(1981年 東宝)

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