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イリュージョニスト

イリュージョニスト監督:シルヴァン・ショメ/シネマシティ立川/★4(70点)本家公式サイト

「心温まる話」という世評なのかもしれないが、私には残酷な話に見える。
シルヴァン・ショメの作品は『ベルヴィル・ランデブー』の他、実写も含め短編も何本か観ているのだが、その作家性というか思想はイマイチ分からない。デブ好きだってのは分かるんだけど。

しかしその作風には特徴がある。
極力台詞を排し、デフォルメされたキャラクターと動きで表現する。
なるほど、それはジャック・タチのそれと類似する。
もしかすると、映画監督ジャック・タチの正当な後継者はシルヴァン・ショメなのかもしれない。

この映画は、タチが愛娘のために書いた脚本だそうで、この映画に見え隠れする思想は、確実にタチのものだろう。
タチは晩年、例えば『プレイタイム』が顕著だが、“移りゆくもの”を描こうとしていたように思う。
この映画も同様だ。
移りゆく時の中で取り残される者が描かれる。
時代遅れの芸人もそうだし、成長していく少女に取り残される老人もそうだ。
とても哀しく残酷だ。
つい喜劇役者の先入観で観てしまうが、ジャック・タチが描こうとしたのは“悲喜劇”だと思う。

特に少女は、若さ故の残酷さを見せる。
すっかり都会の女の扮装をした彼女は、かつての自分のような田舎娘に目もくれない。
そんな少女(=タチの娘)の成長に取り残されることを恐れたタチは、自ら身を引く話を書いた、というのは考えすぎだろうか。

日本公開3月26日公開(2010年 英=仏)

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