August 2019  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

シリアスマン

シリアスマン監督:ジョエル&イーサン・コーエン
★4(85点)/(本家公式サイト

コーエン兄弟の『アメリカン・ビューティー』。っていうか『サクリファイス』(<そうか?)
『ノーカントリー』の時に「うまく説明できないけど、なんだか凄いとこに到達したなあ」と感想を持ったのですが、これも同じ。

少し前の時代(60年代?)の地方のアメリカで今回はユダヤ人コミュニティーを舞台として「人間は可笑しくて悲しい」という、いつものコーエン節なのだが、その精神性というか文学性というか、いやあ、何だろう?凄いなあ。

私は、コーエン版「黙示録」だと思うんです。タルコフスキーの『サクリファイス』みたい。
ただ、「黙示録」と言っても、「人間は可笑しくて悲しい」視点を貫くコーエン兄弟は、“世界”ではなく“人間”を描くんですが。

そして“善”が勝つ物語ではないのです。
不正を受け入れて、そのせいで(?)竜巻やら病気やら(笑)って風にも見えますし。
誰もが「良かった良かった」と絶賛する成人式?だか何だかだって、ラリってるし。
もうねえ、教科書的な道徳にNOを突きつけるんですよ、このインテリ兄弟は。

それでも私は「黙示録」だと思うんです。人間を中心に描いた世紀末感の映画。
『サクリファイス』は自らを犠牲にして世界を救う男の話でしたが、『シリアスマン』は自らの苦悩を誰かに解決してもらいたい利己主義(他力本願)がさらなる(どうしょもない)不幸を呼び込む話に見えるのです。
そしてそれは、正反対に見えて、実は表裏一体なのかもしれません。

「人を殺した」と思うか「悪霊を退治した」と考えるか。
そういうことなんだと思います。
それはもう「大人の思考」というか、老成した大師匠みたいな思考。
事実は一つかもしれませんが、真実は必ずしも一つじゃない。
いや、これだって、「見方を変えれば考えも変わる」と捉えるか「人は思い込みで行動する」と捉えるかって話かもしれませんし。

ま、シリアス・マン(まじめ男)ほど、事態をシリアス(深刻)に捉えちゃうんだよね、って壮大なギャグかもしれませんし。

日本公開2011年2月26日公開(2009年 米)

comments

   

trackback

pagetop