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武士の家計簿

武士の家計簿監督:森田芳光/ユナイテッドシネマとしまえん/
★3(55点)本家公式サイト

森田芳光らしさもあるが、基本、マジメで真っ当な映画。マジメすぎて味気ない。年寄りの口にも合うファミレスの定番料理みたい。
私が森田芳光に関して信用しているのは、「何を見せるか(見せないか)」にちゃんと意図がある点である。少なくとも私はそう信じている。

しかし、「算盤で家計を救った話」として見ると、描写が足りない。
例えば、簡易屋敷とやらを見せて、貧しさの何たるかを観客に知らしめる必要があったろう。

だが違うのだ。
森田芳光の「何を見せるか(見せないか)」が信用できる前提で話をすれば、貧しさをあまり描写しないということは、本意はそこにないということなのだ。
この映画で念入りに描写されるのは「父と息子の物語」だ。
実際、息子のナレーションで父を語るこの話は、婆さんとの死別はほとんど何も描かないし、母との死別も嫁との関連で片付ける。そして祖父の葬儀の日の父の背中を、息子の自分が重ね合わせる。

おそらくこれは、伝承の物語なのだろう。
「算盤」「家計簿」というキーワードは、主題ではなく、あくまで“父の背中”の道具立てにすぎない。

観る前は、『椿三十郎』を撮ったりしたけど森田芳光は黒澤より山中貞雄の方が向いてるな、などと思ったもんだが、終わってみたら『父ありき』だったとはね。
まさか森田芳光が、親子物を撮るとは思わなんだ。

実にストレートな演出で、森田芳光らしい変化球はなりを潜めているが、算盤の“音”の使い方や、画面のつなぎ方、人物の登場のさせ方などのテクニックは巧いんですよ(少々カメラが動きすぎな気もしないではないが)。
「いやもうこれは正攻法で撮るべき話ですよ」「僕そういうのも出来るんですよ」という所も森田芳光らしい。
決して奇異な人物描写はせず、普通の人の普通の話にまとめた意図もよく分かる。

ただ、普通すぎて味気ない。
あ、宮川一朗太の所だけは昔の森田芳光っぽい。

余談

映画鑑賞後に入った居酒屋で、鯛のかぶら焼きを「鯛じゃ鯛じゃ」と言いながら食べたよ。
あと、白子と芋もね。あ、芋こぼした!

2010年12月4日公開(2010年 松竹他)129分

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