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十三人の刺客

十三人の刺客監督:三池崇史/ユナイテッドシネマとしまえん/
★4(70点)
本家公式サイト

野球で一番面白い試合展開を知っているかい?前半は緊迫した投手戦で、終盤に激しい打撃戦になる試合なんだよ。
この映画の構成はそういう「一番面白い試合展開」の映画だったと思う。
中でも前半は緊迫した堂々時代劇。
春夏秋冬いろんな映画を撮る三池の職人技を見た気がする。
あと、集団での乱闘の捌き方は巧いよね、三池。

いやまあ、この映画の構成が特別な訳ではなく、原来映画のドラマツルギーとは終盤に向けて盛り上がりが増すものなのだ。それが『インディージョーンズ』辺りから「ジェットコースタームービー」とか言って最初からガンガン飛ばす映画が増えてきた。それはそれでいいのだが、一方で終盤息切れするような映画も数多く作られてきた。序盤にガツンとやって客を掴まねばならない連載漫画と映画は根本的に構成が違うのだ。あのねえ、漫画原作に頼るのは少し考え直した方がいいよ(<本作と全然関係ない)。

この映画は(面白かったというより)楽しかったのだが、正直、オリジナルの『十三人の刺客』はあまり好きではない。評価も採点もしていないのだが、改めて観直す気もない。
工藤栄一の奥行きのある画面作りは好きだが、東映時代劇があまり好きではないし、盗作疑惑ウンヌン以前から池宮彰一郎(池上金男)の脚本家としての腕も信用していない。
だってこの話、不利なのは人数だけで、資金や物量は圧倒的に優位に立ってんじゃん!

つまりこの話は、『七人の侍』のような“弱者”の物語ではなく、強者の後ろ盾を得た“下級者”の物語なのだ。
今にして思えば、まだ戦後復興期の昭和29年制作の『七人の侍』と、「もはや戦後ではない」と言い放った後の高度経済成長期の昭和38年制作『十三人の刺客』ということだったのかもしれない。
本当に貧しさが身近だった時代に作られた『七人の侍』と、社会的格差が生まれ始めた時代に作られた『十三人の刺客』と考えられないこともない。

しからば、このリメイクに如何ほどの現代的意義があろうかと考えてみるに、実は私には何も見えてこない。
海外を意識した作りは随所に見えるんだけどね。
(冒頭の「原爆ウンヌン」、ありゃ何だ?)

いや、楽しかったことは楽しかったんだよ。
市村正親とか松本幸四郎とかさすがだなと思うし、伊原剛志とか沢村一樹とか六角精児とかテレ朝でしか見ない役者だなとか、光石研が活躍しすぎだなとか。あれ?あんまり誉めてないな。

あれー?何が楽しかったんだろう?
観終わって数時間で既に印象が薄れている。
鑑賞中は血沸き肉踊った感じだったんだけど、今にして思うと「映画観たなぁ」って満腹感がない。

あ!『クローズ ZERO』と同じ感覚だ。

あ!『クローズ ZERO』みたいだったから楽しかったんだ。

あ!『クローズ ZERO』と同じじゃん、この映画。

2010年9月25日公開(2010年 テレビ朝日他=東宝)141分

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