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ケンタとジュンとカヨちゃんの国

監督:大森立嗣/渋谷ユーロスペース/
★3(50点)本家公式サイト

いつの時代の話をいつの時代の感覚で撮っているのやら。主人公達の目指す先よりも監督の目指す所が分からない。
今から分かったような分からないような事を長々書きますが、この映画も似たようなもんだと思うんです。
何か語りたくなる、何か分かったような気になる“話”ではあるんですが、あまりにも分り易く直接的に過ぎる気がするんです。
「壁を壊せない男が壁を壊そうともがく物語」であることを早々に提示して、そのままそれ以上(表面的な描写以上)の何かがあるわけではない。
優れた作家は、本当に言いたいことは隠して書くんですよ。
いい“話”かもしれませんが、いい“映画”か?と言われると甚だ疑問。第一、この映画には“匂い”が無い。

監督は大森南朋の兄貴、要するに麿赤児の息子なわけですが、そのアングラの血を受け継いだるのかどうか知りませんが、どうもね、感覚が古い気がするんです。
横浜聡子は『ウルトラミラクルラブストーリー』で現代的な感覚と60-70年代的な匂いを融合させましたが、この映画はなんだろうな?せいぜい80年代なんですよ。匂いのしない80年代的な話。全然「昭和」。嫌いなんだよなあ、80年代的泥臭さって。相米『翔んだカップル』とか(<最近CSでやってるのをチラ見した相米嫌い)。

ただね、役者はすごくいい。

優作の次男はモチロンのこと、昨年の岡田将生から「あんた出過ぎ大賞」を奪う勢いの高良君。
そしてなんと言っても安藤サクラ。とても二流俳優と三流エッセイストの娘とは思えない。もう一度書くけど、あんな二流俳優と三流エッセイストの娘だと知った時はショックだったんだよね。
他にもあおいたんのお兄たんとか、柄本明の息子とかも良かった。柄本明本人より良かった。池脇千鶴の元彼・新井浩文もね。
ていうか、何なんだよ、ほとんど二世とか兄弟ばっかのキャスティング。麿赤児の息子さんよぉ。

役者がいいと書きましたが、私がこの映画に共感できなかった最大の理由は翔太にあると思ってます。
下手なわけじゃないんですが、馬鹿なダメっ子に見えないんです。安藤サクラは見えるけど。翔太ならやってくれそうな気がしちゃうんですよ。あそこで「なんじゃこりゃ〜」とか言ってくれそうな気がするんですよ。妙な安心感がある。
これねえ、優作の息子と柄本明の息子が逆のキャスティングだったら違ったと思うんだよなあ。

あと、この映画ですごーく気になったのが、高良君が手持ち無沙汰になってる場面がしばしば見受けられるんです。
つまり、翔太と高良君にもう一人が加わるじゃないですか、そうするとその会話は3人とか2対1じゃなくて、1人を除いて1対1になっちゃうんですよ。
実は鑑賞後1週間近く経ってこのコメントを書いているのですが、今この映画を思い返して印象に残ってるのは、画面の隅で所在なさそうにしている高良君の姿だもん。
ぶっちゃけ、脚本は下手だと思う。

あと、最後にどうしても書きたいのは多部ちゃんのことね。
青森で多部ちゃんがキャバ嬢で登場しますが、おそらく地元の短大生という設定だと思うんです。
おそらくその短大もね、昔は地元でお嬢様学校として名の通った学校なんですよ。家は小さいけど旧家だって言ってるしね。実際、今時の「地方のお嬢様学校」の多くはキャバ嬢養成学校みたいになってるからね。そこだけは「平成」。
この多部ちゃんのキャラクター、自分の“壁”の中で、ますます自分の“壁”を高くして、“壁”を壊そうともがく男の前に立ちはだかるんですね。
そのキャラクター造形は面白いし、「私死なないもん」と言い放つ多部ちゃんもすごくいい味を出してて、ぶっちゃけこんなキャバ嬢に振り回されるの嫌いじゃない、とも思うんですが、やっぱり分り易すぎるんだよなあ。
映画を観ていて「幼稚な描写だなあ」と癖癖したもん。

2010年6月12日公開(2009 日)

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