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告白

監督:中島哲也/ユナイテッドシネマとしまえん/
★5(90点)本家公式サイト

ガッ!とつかんでワーッ!と持っていく映画。映画のリズムが巧すぎ。
冒頭、騒いでいたクラスが女教師の告白で徐々に静まり返り、息を飲んでその告白に耳を傾ける。観客は、その生徒達と一緒になって息を飲んで話の続きに身を乗り出す。
この段階で観客を映画の中にガッ!とつかんでしまう。
そのまま最後まで観客の気持ちをワーッと一気に持っていくのだが、そのリズムが絶妙で、飽きさせないし疲れさせない。
最近のトニー・スコットに見せてやりたい。

中島哲也の特徴の一つに、適材適所のキャスティングでキャラクターを記号化するという手法がある。
それはもちろん、子役をはじめとする役者達が、監督のイメージを具体化するための“鬼の演出”に応えているということもある。
中でも木村佳乃が白眉。この木村佳乃はいいわぁ。
また、岡田将生は熱血教師には不似合いに思えるのだが、終わってみれば「不似合いに見えることを狙っている」ことに気付かされる。実に絶妙なキャスティング。たしかに、脳天気な熱血野郎にウェルテルなんてあだ名は付けないからね。

この映画、暗い方に振り切ったハイコントラスト映画なんだと思う。
彼の好む「不安な空」も合わせ、中島哲也らしい“解釈”。

初期作品(『夏時間の大人たち』『Beautiful Sunday』)は基本的にユルい作風だった。
そこから6年のブランク後、長編3作目『下妻物語』で目の覚めるようなハイテンション、ハイコントラスト・ムービーで復活した。だが、まだ話そのものは比較的ユルいものだった。
続く『嫌われ松子の一生』『パコと魔法の絵本』と、話(テーマ)自体が次第にクッキリした輪郭を帯びてくる。
この映画は、その延長線上にある(そして『パコ〜』と対局に振れた)作品なんだと思う。

しかし、元はユルい「曖昧さ」を好む人である。
そして「過去の自分が嫌い」というモチーフを好む人である。
明確な自己正当化が主題であるとは思えない。
「な〜んてね」という台詞は、その告白が100%真実ではない「曖昧さ」を、後味の悪さと共に観客に提示したものではないだろうか。

2010年6月5日公開(2010年 東宝他)

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