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終電車



監督:フランソワ・トリュフォー/下高井戸シネマ(再鑑賞)/★4(70点)本家

大人のハチクロ。大人の恋はムツカシイ。
20年ぶりくらいの再鑑賞かなあ。年くってスクリーンで観たらやたら面白かった。なんだろうね、俺もフランス人に一歩近づいたのかね?(<どういうことだ?)

トリュフォー晩年の一作で、とは言え若くして亡くなったからまだ50歳前後の作品で、フランス人なら色恋沙汰バリバリ現役世代だったわけですよ。相変わらず脚フェチだしね。

今にして思えば、この3年前の『逃げ去る恋』で、『大人は判ってくれない』から始まるアントワーヌ・ドワネル物(=トリュフォーの強い自己投影)に終止符を打ち、新たな道を歩み始めた一作と見ることができる。

『逃げ去る恋』以降、80年代に入ってから亡くなるまでの3作品『終電車』『隣の女』『日曜日が待ち遠しい!』は、トリュフォー慣れした目で見ると、個人的な映画から離れるのと同時に、“大人の余裕”が強まっている感じがするのです。
若い頃にやってきたことと実はあんまり変わらないのですが、気負いとか迷いとかトンがってた“若さ”が削ぎ落とされて、ワインの様に熟成して再提示しているように思えるのです。

『終電車』は、ある意味『アメリカの夜』の熟成した再提示なのかもしれません。

つい「恋愛映画」という先入観で観てしまうのですが、いやまあ実際恋愛映画なのですが、基本は舞台裏のドタバタ物なんですよ。
そのドタバタの中心が男女の色恋ってだけ。

これね、改めて観て気付いたんだけど、ドヌーブは最初に一目惚れしてんのね。
表情とカット割りだけで表現されてて判りにくいんだけど、一目惚れしてんですよ。熟成されすぎ。観客は判ってくれない。

で、「ドヌーブ惚れてる」という意識でその後のドタバタを見ると、もうね、一挙手一投足が面白くって仕方がない。
みんな片想いというハチクロ状態なわけですが、分かりやすく悶々としたり揺れ動いたりしない。「人が恋に堕ちる瞬間を初めて見た」とか言わない。だって大人だから。
これは、感情を殺してる様をウヒウヒ観る映画だったんですよ。
そして、抑圧された感情が爆発する瞬間を迎えるわけですが、そのポイントに的を絞ったのが続く『隣の女』なのかもしれません。

そうした色恋沙汰をドタバタやってのラストシーン。
二人の手を握りカーテンコールを迎えるカトリーヌ・ドヌーブ。
さすが。さすがドヌーブ。
舞台の観客と一緒に拍手を送りたかった。

(1981年 仏)

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