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グリーン・ゾーン


監督:ポール・グリーングラス/ユナイテッドシネマとしまえん/
★3(50点)本家公式サイト

口当たりの良さとのどごしで飲めちゃうけど、咀嚼すると劣る面ばかり思い出す。
ヘリコプターの出し方がいいね。あとアヴァンタイトルの遠方で炎上する街。印象的なシーンはそれくらいしかない。
トータルとしてよくまとまっているとは思うんだが、社会派映画として、戦争映画として、アクション映画として、マット・デイモンの映画として、個々の要素がそんなに優れているとは思えない。
期待値が高すぎたせいか、それほど楽しくはなかったというのが正直な感想。

<<社会派映画として>>

イラク版『大統領の陰謀』みたいな脚本だが、今さら感が強い。
父ブッシュの時代から「支持率が低下したらイラクを空爆すれば支持率回復!」という四コマ漫画をいしいひさいちが描いていたほど、イラクは米国のネタ、いわばアメリカン・ジョークみたいなもんで、大量破壊兵器なんて口実に過ぎないことは最初っから世界中みんなが知ってたこと。
「エエッ!大量破壊兵器が無かったなんてっ!ショック!閉店ガラガラ!」なんてことを言ってるのはアメリカ人だけで、「何を今さら」な話なわけですわ。アメリカの正義が世界の正義じゃないことはベトナムの段階で分かってるはずだし。
ついでに言えば、親父が支持率回復の便利道具に使っていたイラクを、バカ息子は軍事産業と結託して金儲けのために叩き潰しちゃったもんだから、フセインの恐怖政治で押さえ込んでいたシーア派・スンニ派・クルド人の対立が再燃。言わば「パンドラの箱」を開けちゃったわけですよ。そこまで踏み込んだら社会派だったんだけどねえ。
中途半端に風呂敷を広げなかった『リダクテッド』の方がなんぼか社会派ですわ。

<<戦争映画として>>

娯楽に振れようがシリアスに振れようが、戦争映画は大なり小なり「個人」に帰結する場合がほとんどだと思うんです。前者なら友情と別れ的な、後者なら狂気に陥る的な。的な。だって異常な状況下だもんね。そこで人の気持が動かないはずがない。
ところがこの映画ときたら、「個人の気持ち」には一切踏み込まないんだな。
「あなたについていけない」と部下に言われたら「じゃあ隊を二手に別けよう」と合理的に処理しちゃう。
監督は“娯楽”に仕上げたつもりかもしれないけど、脚本は言いたいことまっしぐら。猫まっしぐら。全然余裕がない。
個人の問題に帰結する『ハート・ロッカー』の方がなんぼか立派な戦争映画ですぜ。

<<アクション映画として>>

前述したように「個人」に帰結していないから、ハラハラドキドキしない。
ふーん。てなもん。
せめて「チーム」の命運が掛かってるなら別だが、なんだか勝手に配置換えしちゃうしね。
よく言ってることなんですが、流麗なアクション自体に魅力があるんじゃなくて、前後の状況や登場人物の感情に気持ちが乗って初めていいシーンになるんですよ。キスシーンだってそうでしょ。観る側は「どうなるの!?どうなっちゃうの!?」と思うからハラハラするんであり、「志村!後ろ後ろ!」「マ、マ、マ、マット・デイモン!後ろ後ろ!」と主人公に感情移入してドキドキするから、危機を回避して(相手を倒して)「やったー!」と一緒に思えるんですよ。

<<マット・デイモンの映画として>>

マ、マ、マ、マット・デイモンの良さが一番出てるのは『オーシャンズ12』だと思うんだ。え?違う?じゃあ、『チーム・アメリカ』。

日本公開2010年5月14日(2010年 米)

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