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今度は愛妻家


監督:行定勲/ユナイテッドシネマとしまえん/
★5(90点)本家公式サイト

安っぽい話だし過剰な所もあるんだけど、構成や見せ方が巧いこと巧いこと。泣いちゃったよ。号泣しちゃったよ。
なんといってもキャスティングが絶妙で、中でも津田寛治、奥貫薫、井川遥の使い方。素晴らしいね。
そして薬師丸ひろ子ですよ。
大好きだったんだよなあ、薬師丸ひろ子。俺、中学生だったと思うけど、『セーラー服と機関銃』は完璧版も含めて5,6回は映画館に通ってますよ。今思えばクソつまんない映画なのに。どんだけ好きかってねえ、俺がいかに薬師丸ひろ子好きかをまとめた非公開POVがあるくらいだからね。ほんと、この映画観て思ったよ。俺、薬師丸ひろ子と結婚すればよかった。

そんな薬師丸ひろ子は、「角川アイドル時代」「角川後の(売れない)主役級時代」、離婚復帰後の「大物脇役時代」に大きく分類されるわけです。
そして行定君は私の2歳下。本人もファンだったと言ってますけど、バリバリ“薬師丸世代”なんですね。
かつて自身のアイドルだった、すっかり「大物脇役」となった女優を、再び主役の座に引っ張り出したわけですよ。いやまあ、真の主役はトヨエツなんだけどさ。
そこに行定君の作家性が見られるかと思ったわけですよ。

ところが、以前も書いたことがありますが、行定勲という人は“感性”で撮る人じゃなくて、“知識”や“理性”で撮ってる人なんですね、私が思うに。
私は『北の零年』の手腕を評価していて、いや映画自体はちょっとアレなんだけど、「この映画の企画に求められているものは何か」ということが分かって撮っている端的な例だと思っているのです。『セカチュー』しかり『春の雪』しかり、商品としての製品を作れる人だと思うのです。商業大作となると丸でダメオになってしまう犬童一心とは大きく違う。今時稀有な存在ですよ。舛田利雄以来ですよ。ワハハハ。あ、大森一樹もいたか。大森一樹がちゃんと商品作れてたか疑問だけどな。ワハハハ。

そんなわけですから、行定君は好みの女優に溺れることがない。これ、大林宣彦だったら大変なことになってますよ。もっともあの人は若い子にしか興味ないんですが。
かといって、角川アイドル時代みたいな“記号”として取り扱うわけでもない。津田寛治、奥貫薫、井川遥は“記号”だけど、ここではそれでいいんです。そういう使い分けをちゃんと分かってやってる感じがする。水川あさみにしたって濱田岳にしたって、多少ステレオタイプでも“やや記号的”でいいんです。だって主軸はトヨエツと薬師丸ひろ子間の一点に絞られるんだから。

それに見せ方が絶妙なんすよ。緩急のあるカメラワークとか。
別れ話を切り出す瞬間の間とか、スーッとカメラが横移動するところなんかたまらんね。
あと写真撮るところね。泣いちゃったもん。行定センチメンタリズムに泣かされちゃったもん。とは言え「大人の物語」だから抑制がきいてるんだ。そこも泣かせるんだ。

原作は舞台作品だそうで。こう書くと語弊があるかもしれませんが、いかにも舞台作品なんだなと思う箇所があります。なるべくネタバレにならないよう書きますが、薬師丸ひろ子のことについて、石橋蓮司のことについて、各々種明かしした際に映画だと違和感が走るんです。たぶんこれ、舞台なら空気が変わる瞬間なんだろうけど、映画だとちょっと引いちゃう。
それがオチだったら引いたまま「安い話!」って低評価にしたところなんだけど、そこからさらに突っ込むのがいいんですね。むしろ、そこからドラマが始まる的な。
もっともそうした話の流れや構成は原作に負う所が大きいんでしょうけど。

そんなこんなで、なるべくネタバレしないよう気をつけて書いてきましたが、最後に一つだけネタバレを。
これは、「受け容れる物語」だと思うんだ。

2010年1月16日公開(2009年 東映)

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