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母なる証明


監督:ポン・ジュノ/渋谷シネマライズ/
★5(90点)本家公式サイト

不快ゾーンを超え感傷的な情緒を排除したら、見えてきたのはヒッチコック級の手練手管。映画の醍醐味を堪能した。
<<不快ゾーン>>

ポン・ジュノの描く人物像は好きじゃない。
たいがい頭の足りない奴が出てきて、そのマヌケぶりで不必要な笑いを誘い、アホな行動が事態の重要なターニングポイントになる。
要するに、緻密な“計算”あるいは“誤算”ではなく、バカバカしい“偶然”で物語が展開する。
不快だ。
本作も、バックミラーを壊すクダリで「ああ、またか」といささかゲンナリした気分で観始めることになる。

<<感傷的な情緒>>

ポン・ジュノは、韓国映画の中では“突き放した描写”をする人だとは思う。しかし、あくまで「韓国映画の中では」。
韓国映画は基本的に浪花節だと思う。過剰なほど感傷的で煩わしい。
本作も、そのタイトルから「いかに母の愛が強いか」ということが暑苦しいほど感傷的に描かれるのであろうことは容易に想像できた。ウンザリだ。

<<ヒッチコック級の手練手管>>

しかし、不快ゾーンを超えた先に快感が待っている場合があることも経験上知っている。
私のゲンナリ・ウンザリムードが転換してスイッチが入った瞬間は、ペットボトルを倒した辺りである。

「ヒッチコック・サスペンスだ」

そう気付いた時、目の前の霧が晴れるように情緒的な感情が私の中で排除され、恐ろしくレベルの高い「映画的な場面」が展開されていることが分かってきた。
登場人物の感情に寄り添った緻密なカメラワーク。サスペンスを盛り上げる計算された構図。もう完璧。
殴られた顔半分を片手で覆って5歳の時のことを語る画面(えずら)&段アップの凄まじさったら!

<<プラスアルファ>>

緻密に計算された画面の一方、最後の最後に計算外の“奇跡”が待っている。
逆光の中、並走する車からカメラを向けたであろう「ええじゃないか」シーン。
望遠カメラが揺れ、夕日が漏れ、カメラは一瞬母親の姿を見失ってしまう。
意図せざる効果は、映画の神が舞い降りたかと思うほど力強い。
なんて感動的なんだろう。
計算と計算外のコラボレーション。映画の醍醐味。

日本公開2009年10月31日(2009年 韓国)

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