July 2019  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

イングロリアス・バスターズ


監督:クエンティン・タランティーノ/新宿ミラノ3/
★4(80点)本家公式サイト

駆け引きの映画。やらしいほど巧い。巧すぎていやらしい。
いきなりネタバレなことを書きますが、映写室でのシーンの美しいこと!
本当にユダヤ系フランス人だというメラニー・ロランはただでさえ美しいのですが、二人が横たわった構図なんか、もう!「今、自分は映画を観ているんだ」という至福の瞬間。

伏線の張り方、小道具の使い方、実にタランティーノの巧さが目立つ映画で、全てが彼の掌中で転がされているのです。
キャスティングやキャラ立ちも絶妙で、中でも私の目を引いたのは獣医(笑)。
ついでに言うと、ブラピをよく見ると首に傷跡があるんですね。おそらく半殺しの目にあったことがあるんでしょう。ヤク中になりながら“裏任務”を続けている理由は(これだけ饒舌な映画の中で)傷跡だけで語られているのです。

登場人物達は、皆、裏切りと予想外の展開に振り回されます。
観客である我々は、長い長い台詞の応酬=登場人物達の“駆け引き”によって、その後の展開を「きっと、こうなるんだろうな」とワクワクドキドキ予想しながら観るのです。
例えば、待ち合わせの居酒屋が地下であることにブラピが「何故地下がダメか分かるか!地下だからだ!」と怒り、ナイフを研ぐ仲間を見ながら「揉めることはないだろう」と会話するのは「これから揉めますよ」ということを提示しているのです。
そしてタランティーノは、我々の予想に対して期待通りの回答を提示した上で、さらに裏切り、予想外の展開を提示するのです。

これはどういうことかと言うと、長い長い台詞の応酬が、登場人物同士の“駆け引き”であると同時に、タランティーノが観客に仕掛けた“駆け引き”でもあるのです。
その結果、タランティーノは観客までもその掌中で転がすのです。
実に巧い。やらしいほど巧い。

余談ですが、タランティーノ自身は、今時の反省のための戦争映画ではなく、『荒鷲の要塞』みたいな戦争映画とマカロニ・ウェスタンを合体させた娯楽作を作りたかった(自分自身が観たかった)、と語っている。
『キル・ビル』の時にも語っていたような気がするんですが、今回もタランティーノに政治的な意図は特別無いんじゃないかなあ。
ナチだろうがナンだろうが、栗山千明が鎖鎌振り回すのと根本は変わらないと思うんだけどなあ。

余談
誰も言わないけど、あの場所の元ネタは『ガス人間』なんだろ?『ガス人間』だよなあ、タランティーノだったら。

日本公開2009年11月20日(2009年 米)152分

comments

   

trackback

pagetop