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監督:川島雄三/ラピュタ阿佐ヶ谷/★5(85点)gooDB

これが生きるってことだ!!これがシネスコってもんだ!!!
横長の画面縦横無尽に人物が行き来する面白さ。
とにかく二人が対峙することがない。
第三者が加わり、複数人が混じり、常にガチャガチャわさわさ猥雑に、移動しながら、他のことをしながら、会話は行き来し、人物も行き来し、それでも途切れることなく流れるように物語は進行する。

ラピュタ阿佐ヶ谷で行われた特集上映「撮影監督:岡崎宏三の軌跡」の初日初回に観る。
岡崎宏三自身の挨拶があり、その際こんなようなことを言っていた。

「どれだけ多くの人物が出入りしても観客の注意は物語の中心(主人公)にもってくるように意識した」

私が特に好きなのは、飲み屋で古美術商:宝珍堂(本当はチ●ポにしたかったに違いない)の主人がフランキー堺に相談を持ちかけるシーン。立ち聞きする保険屋(益田キートン!)に聞こえないように移動しながら会話する絶妙な上手さ。

ところが一ヶ所だけこの猥雑さがなくなるシーンがある。この映画を「早すぎたラブコメ」と呼んでいいのなら、「ラブ」の箇所だ。
それ以外総て「動」だから唯一の「静」がやたら際立つ。その手腕の見事さ。

当時、東宝社長が「こんな下品な映画見たことない」と言ったそうだが、この下品さ(猥雑さ)は総て「人の生ける営み」から発生している。
川島雄三が「面白い」と感じているのは「人間」なのだ。
それも、相も変わらず同じような日々を繰り返している「ダメ人間」達だ。

気取ったり繕ったりせずに「したたかに生きる」人々(唯一繕おうとしたのが乙羽信子)を「ダメだっていいじゃない!」という、実に四十数年後の今日にやっと認知され始めた温かい目で見つめていた驚異。

いやー、傑作だよ。すごいよ、マジで。

(1959年日)1時間53分


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