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シティ・オブ・ゴッド

監督:フェルナンド・メイレレス/六本木ヴァージンシネマズ/★3(60点)gooDB

誰も抜け出せない「神の街」。嫌いではないが好きになれない作品。
父親が仕事の関係でブラジル人を何人か雇ったことがあるそうだ。住居も与えて住まわせていたそうだが、父親曰く、ブラジル人に共通して言えることは「決して窓を開けない」ことだそうだ。理由は「盗まれるから」。

もちろん実話を基にしたことを謳っているのだが、恐らくこの映画で描かれていることは誇張でも映画的でもないものなのだろう。
貧困・教育といった政治的な問題を声高に叫ばず、あくまでその片鱗を感じさせるにとどまっているのは好感が持てる。
だが、結論を先に言ってしまえば、それ以前に「人の絆」「人を信頼する」という、何か希望とも言える一点の光すら描かれなかったことにより、ただ暗澹たる思いしか感想が残らないのが残念だ。正直言って、コメント書いてても楽しくない。

ショットや編集は上手い。やたら上手い。
例えば「手と足どっちがいい?」と子供を撃つシーン。
ステーキと呼ばれる子供が銃を与えられ「どっちか撃て」と命じられ迷いながら射殺する。その殺した後の肩越しショットの上手いこと上手いこと。
もちろん子供達の演技の問題もあっただろうが、中途半端に表情を写すよりもその背中を写すことでいかに多くの事を語り得るか。
常に直接描写よりもむしろフレームの外で見せる。
非常に映画的だし映像を分かっている監督だと思う(ブラジルCM界の大物なんだって?)。
タランティーノのようなギミックに満ち満ちた語り口と森田芳光のようなけれん味に満ち満ちた演出は、おそらく多くの人に衝撃を与えるだろう。俺は途中で飽きたけど。ていうか鼻に付いてきた。
あ、そうか。多くの人は森田芳光に同じ感想を持つのね。

誰もが抜け出すことを願いつつ、誰も抜け出せない「神の街」。
彼女と共に脱出を図るも、乗り込んだ車のエンジンがかからず発見されてしまうカベレイラ。
送別会で殺されてしまうベネ。
兵役を終え、車掌というカタギの仕事で暗黒の世界と関わりを持たなかったベネすら、この暗黒の世界に足を踏み入れざるをえなくなる。
リトル・ゼだけは、「抜け出す」ことではなく「支配する」ことで「神の街」を終わらせようとする。改名の際「これを付けたまま女とヤルな」という掟を破ったせいなのか、神に挑んだバベルの塔だったのか、この街に沈む。
そして主人公(語り部)ブスカペ。カメラがないというだけでこの街を抜け出せずにウロウロ。
だが、彼だけがこの泥沼の世界から抜け出る可能性を残して映画は終わる。唯一の救いと言えばそこだけか。

撮影当時(2001年)、シティ・オブ・ゴッドは実際3派に分かれて一触即発戦争勃発直前の緊張状態だったそうだ。だから「終焉の始まり」。

このクソみたいな街が未だ世界のどこかに実在し、そんな事も知らず、いや知りながらそれを「必要悪」と是認する事で我々の街は存在しているのか。いや、4点でもいいんだけどね。コメント書いてて暗澹たる気持ちになってきたので3点。限りなく4点に近いけど3点。

日本公開2003年6月28日(2002年ブラジル)2時間10分


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