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さらば、わが愛/覇王別姫

監督:チェン・カイコー/キネカ大森/★5(100点)gooDB/再見→

二日続けて大森まで遠征するほどの入れ込みようだが、さすがに冷静に観られたので、少し内容に触れてみたい。
本作は同性に対する純愛を真摯に「映像で綴った」映画だ。
血の契りで始まり、変な爺さんに弄ばれたあげく捨て子を抱き上げる件は、まさに小豆が「女」になっていく過程だ。

阿片に溺れる蝶衣が母親への手紙を書いたというシーンがある。
これを素直に「母への慕情」と考えるのはたやすいが、いささか早計だろう。
何故この歳になって阿片に溺れながら、あれほど強烈に我が身を捨てた母を想うのか。
それは「慕情」ではなく「トラウマ」なのだ。捨てられることへの恐怖なのだ(これであの指切りに意味が出てくる)。
このトラウマが、「淫売の子」として産まれた自分を純愛に走らせる。しかも恋敵は、自分を捨てた母親と同じ遊女だ。ますますもって意固地になる。
「蝶衣が本当に愛したのは京劇なのだ」という評をよく目にするが、それは違う。京劇を愛したのでもなければ芸に身を捧げたわけでもない。京劇が彼の全てであり、彼自身が京劇なのだ。彼のアイデンティティーそのものが芸であり、虞姫であったのだ。

惜しむらくは段小樓(トァン・シャオロウ)役のチャン・フォンイーの演技だ。
ちなみにレスリーは「彼は役のとらえ方を間違いました。だから私は俳優として彼を認めないし、再び共演したいとは思いません」と言っている。

いい映画の後は酒を飲みたくなる時がある。立ち寄った店にサンザシ酒というのがあった。
砂糖漬けのサンザシなんて、きっと駄菓子なのだろう。そう思うとひどく悲しい。サンザシ酒をロックで飲んだ。

1994年2月初公開(1993年香港)2時間52分


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