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さらば、わが愛/覇王別姫

監督:チェン・カイコー/キネカ大森/★5(100点)gooDB/再見↑

私はこれほど壮絶で痛切で美しい映画を他に知らない。
やっとこの映画をスクリーンで観ることができた。

故レスリー・チャン大好きのウチのヨメに「これは観ろ」とビデオを薦められたのはずいぶん昔の話。
それまで縁遠かった中国映画に触れるきっかけである一方、チェン・カイコーを必要以上に買いかぶってしまったという若き過ちを犯した作品でもある。
以来、私の中で「死ぬまでにスクリーンで観たい映画ナンバー1」「どうしてスクリーンで観なかったんだナンバー1」「今DVDを買いたい映画ナンバー1」と、まるで某化粧品のCMのごとく数々のナンバー1の座に輝き続けた映画なのである。
レスリー追悼特集は各地で行われていたが、場所が遠かったり日程が合わなかったりでチャンスを逃し続け、いよいよ最後になって大森くんだりまで遠征してやっと観られた。

私はこの映画を『ブリキの太鼓』『フォレスト・ガンプ』と並ぶ「世界三大“近代史”映画」と呼んでいる。
激動の時代を描いた映画、時代のうねりに翻弄される映画は他にも沢山あるが、これらの映画は全て「主人公の立ち位置は変わっていない」という共通点がある。変わっていくのは時代であって己ではない。

また、この映画は見事な二重構造になっている。物語の進行と劇中京劇「覇王別姫」。
二つは折り重なるように(そして京劇はきちんと順を追って)描かれ、程蝶衣(チョン・ティエイー)は本当に「四面楚歌」になっていく。私は本作を『フィッシャー・キング』と並ぶ「世界二大“二重構造”映画」と呼んでいる。

また、最後には悲しい立場にはなるが、この映画のコン・リーは嫌な女である。
「芝居をやめて普通の暮らしを」という彼女は、あの厳しい少年時代の修行を観ている我々にとって「お前に何が分かる!知ったような口をきくな!」と言いたくなる対象だ。これを私は『鬼畜』の婦人警官・大竹しのぶと並ぶ「世界二大“知ったような口をきくな!この女(アマ)!”」と呼んでいる。

それにしてもコン・リーと対峙するレスリーの女らしいこと。
そんなレスリーは実生活でも男性関係や仕事に悩んでいたとも言われ、自ら命を絶ったことで、この映画を「三重構造」にしまった。
ウチのヨメに言わせれば、一時引退したりしたのも全て「幕引き」のためだったという。
美しいうちに自分自身を終わらせたい。それがレスリーだったのだと。いつまでもヨボヨボ生きているモ●シゲなんぞダメだと。
いつまでも冥福を祈りたい。

1994年2月初公開(1993年香港)2時間52分


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