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ボウリング・フォー・コロンバイン

監督:マイケル・ムーア/恵比寿ガーデンシネマ/★4(78点)gooDB

銃撃も戦争も恐怖も全てアメリカの公共投資
正直ドキュメンタリーとしてはいかがなものか。反米主義者の私には既知の事実がほとんどだったから。
ああ、皆さん、これがアメリカの真実だと思わないで下さいね。これはあくまで氷山の一角。本当はもっと酷い国なんです。

そうは言っても面白かった。ドキュメンタリーのイメージを一新するような飽きさせない軽快な作り。

いやもう、何が驚いたって、「定期預金を作れば宝くじ差し上げます」「阪神が優勝したら金利10倍」ってなノリで「口座を開設したらライフル差し上げます」だもん。
それも日本の生命保険よりも甘い審査。消費者金融以下。

いやもう、何が笑ったって、赤狩り・魔女狩り・冷戦に対テロ・黒人差別に・経済大国バッシングetc.常に「仮想敵」を持つことでしか束ねられない混合民族国家アメリカ、しまいにゃ「殺人蜂」かいっ!
なるほど、宇宙人侵略やパニック映画はアメリカ文化の産物だったわけだ。

いやもう、何が怖かったって、銃よりも郊外の人々の顔。
「自衛は義務」「武器所持は憲法で認められている」
平均的・標準的・偽善的人々。無機質で画一的な人間味の無い顔。
郊外といって思い出すのが『アメリカン・ビューティー』『チョコレート』。
思い返せば、ケビン・スペイシーもビリー・ボブ・ソーントンもひたすら無表情(まあ元からそういう顔なんだけど)。
比べてカナダ人のなんと表情豊かなことか。でも鍵くらいは閉めた方がいいと思うぞ。

この映画でもっとも興味深かったのは、銃社会・差別社会ウンヌンよりも、そこに至る背景、つまり「アメリカ人とは何ぞや」という文化人類学的な面白味があったことだ。

なぜ今アメリカ経済が疲弊しているのか?工業なき金融に偏っているからだという指摘がある。もしこれが正しいとするなら、その根源は「奴隷制度」にあったのではなかろうか。
なぜアメリカ人は恐怖におびえているのか?元々逃げ出した民族であり、支配することで地位を固めた民族だからではなかろうか。そして支配のために必要だった力=武器。

カナダ人の笑顔を見て思う。アメリカは本当に「自由の国」なのか?
自己の思想を無神経に無遠慮に押しつけるのが「自由の国」のやることなのか?
まるで弾丸のように転がるボウリングの球をみて、あれこれ思ってみたりする。

(余談)
差別社会に関しては、たしかにアメリカは今でも酷い状況だが、どこにでもある話で、多民族国家であるが故それが際立っている面はあると思う。
遅れて移民したアイルランド人は警官ぐらいしかなるものがなく、さらに遅れて移民したイタリア人はギャングしかなるものがなかった・・・という冗談だか本当だか分からない話があるが、黒人は酷い差別を受けているのはもちろんのこと、黒人以外も蔑視されてたりする。アイルランドの豚野郎、金儲け主義のユダヤ人、イエローモンキー。アメリカ人の民族蔑視言葉は世界一豊富だ。じゃあ蔑視されない民族はなんなんだっちゅう話だ。

共産主義、社会主義が崩壊し、アメリカ型市場経済も崩壊しつつある。これから「国家」という垣根は崩れていくのかもしれない。
だがその一方で「民族」だけは際立ってきているのは気のせいか?








日本公開2003年1月25日(2002年カナダ)2時間


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